はじめに:情報を信じすぎた私の“苦い3年間”
投資を始めた頃、私は「とにかく勉強すれば失敗しない」と信じていました。
SNSや証券会社のレポートを読み込み、PERやROEなどの指標も頭に入れて、
自信満々で買ったのが、ある人気テーマ株。
しかし、結果は100万円を3年間拘束される“塩漬け”状態。
当時の私は「損切りできない投資家」の典型でした。
この記事では、実際に起きた流れと、その中で学んだ3つの教訓をまとめます。
投資当初:「これだけ調べたから大丈夫」と思い込んでいた
最初の失敗は、“調べたつもり”になっていたことです。
IR情報や決算書をきちんと見ず、SNSの情報やアナリストの意見を信じ切っていました。
PERが割安、ROEが高い、チャートが右肩上がり——。
「これは伸びるに違いない」と思い、100万円を一括で投資しました。
結果的に、その銘柄は購入後すぐに下落。
「一時的な調整だろう」と思い込み、
気づけば−30%の含み損を抱えていました。
下落後の行動:「ナンピン」で自分を納得させていた
株価が下がるたびに、「今が買い増しのチャンスだ」と思い込みました。
ナンピン(平均取得単価を下げる買い増し)を繰り返し、
結局、投資額はさらに膨れ上がることに。
この時期の私は、「根拠のない楽観」に支配されていました。
「来期には回復するはず」「ニュースで話題になっている企業だから大丈夫」
そんな言葉を自分に言い聞かせ、現実を見ないようにしていたのです。
決算発表で突きつけられた“現実”
数か月後の決算で、企業の売上・利益はどちらも大幅減。
それでも私は「一時的なコスト増だから」と自分に言い訳しました。
しかし、営業キャッシュフローはマイナス。
その意味を理解していなかった私は、
「黒字なのにお金が減る理由」を考えようともしていませんでした。
今思えばここで撤退すべきでした。
けれども「損失を確定したくない」という感情に負け、
株価を見ない日が増えていきました。
3年間の塩漬けで気づいた「機会損失の重さ」
最終的に、3年後の私は損切りを決断しました。
当初の100万円は、70万円に。
「3年待って−30万円」よりも、
「その間に投資信託を積み立てていたら+30万円」になっていたかもしれません。
この経験で痛感したのは、
“損失”よりも“機会損失”の方が重いということです。
学んだ3つの教訓
① 一次情報を読む
SNSやニュースだけで判断せず、決算短信や有価証券報告書を見ること。
特に「営業キャッシュフロー」「利益率の推移」「株式発行数」は必須です。
(参考:金融庁「投資信託の基礎知識」)
② 損切りラインを決めておく
「−10%になったら撤退」など、事前にルールを作っておくこと。
感情で判断すると、判断が遅れます。
③ コアはインデックス、サテライトで個別株
今の私は、9割をインデックス投資、1割を個別株にしています。
リスクを抑えながら、学びを得られるバランスが取れる方法です。
(関連記事:インデックス投資の魅力|初心者が安心して資産を育てられる理由)
今の運用方針とメンタルの変化
塩漬け経験を経て、私は「損を小さく、学びを大きく」を意識するようになりました。
長期的に安定して資産を増やすには、
“守りながら攻める”バランスが何より大切です。
- 個別株はポートフォリオの5%まで
- 決算2期連続悪化で見直し
- 信用取引は使わない
- 投資日記で判断を振り返る
これらを実践してから、投資が穏やかになり、
感情に振り回されることも減りました。
まとめ:失敗も“経験という資産”になる
個別株投資は、うまくいけば大きく伸びる可能性もあります。
しかし同時に、感情のコントロールが最も難しい投資でもあります。
今回の失敗を通じて学んだのは、
「根拠のない自信は危険」「損切りは悪ではない」ということ。
3年間の塩漬けは高い授業料でしたが、
今ではこの経験が投資の軸を作ってくれました。
これから個別株を始める人へ。
“戻るはず”ではなく、“守る”という意識を大切にしてください。
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