「やらなきゃ不安」だった投資が、いつの間にか楽しみになっていた
社会人になって数年が経ち、ニュースやSNSで「老後資金2,000万円問題」や「新NISA」の話題を見るたびに、不安が募っていきました。
「自分も何か始めなきゃ」「貯金だけでは足りない」──そう思い立って投資を始めたのがきっかけです。
しかし、当時の私は**“楽しむため”ではなく“焦りから”投資を始めていた**ように思います。
周りの同年代が次々と「資産〇〇万円達成」と投稿しているのを見ては、「自分ももっと頑張らないと」と比較ばかり。
投資が「未来の安心」ではなく、「今の不安を埋める手段」になっていました。
最初のうちは、上がったり下がったりするチャートを見るのが刺激的で、ある種の“スリル”を感じていました。
でも時間が経つにつれ、**「もっと増やしたい」→「下がって怖い」→「また焦る」**という無限ループに陥っていたんです。
そんな私が少しずつ変われたのは、「投資は競争ではなく、自分を整える時間なんだ」と気づいてからでした。
この記事では、
- 投資を“義務”と感じていた頃の失敗
- そこから考え方が変わったきっかけ
- 「楽しめる投資習慣」をつくるために意識していること
を、20代後半の投資家としてのリアルな体験をもとにお伝えします。
投資が“義務”だった頃の自分
SNSと比較しては落ち込む毎日
投資を始めたばかりの頃、私はSNSで他の投資家の投稿を見るのが日課になっていました。
「20代で資産1,000万円達成しました」「S&P500で年間+30%」──そんな報告を見るたびに、自分が取り残されている気がして焦っていました。
本来は「将来のため」に始めたはずの投資が、いつの間にか「他人と比べる競争」になっていたんです。
結果が出ていない自分を責めては、「次こそは」と無理にリスクを取り、結局は疲れてしまう。
今思えば、この時期の私は「お金を増やす」より「自分の心をすり減らす」ことに時間を使っていました。
焦りから行動がブレていた頃の自分を振り返ると、こんな特徴がありました。
- 値動きを1日何回もチェックする
- SNSで他人の成績を見て落ち込む
- すぐに利益を求めて売買を繰り返す
- 長期投資と言いながら、結局は短期思考
今でこそ笑えますが、当時は本気で「努力してるのに成果が出ない」と思い込んでいました。
でも冷静に見れば、それは“投資”ではなく“感情の取引”でした。
投資の目的を見失っていた
そもそも、なぜ投資を始めたのか。
その「目的」を自分でも言葉にできていなかったことが、迷走の原因だったと思います。
- 将来に備えたい?
- 老後の不安を減らしたい?
- それとも、ただ周りに置いていかれたくなかった?
明確な理由がないまま、「なんとなく増やしたい」と思っていたので、どんな結果になっても満たされない。
利益が出ても一瞬で不安が戻ってくるし、損失が出ると「やっぱり自分には向いていない」と落ち込む。
投資の世界では、「目的のないお金は迷う」と言われます。
まさにその通りで、当時の私は“何のために投資をしているのか”を見失っていました。
義務感だけでは続かないと気づいた瞬間
そんなある日、私が保有していた投資信託が一時的にマイナス10%になったことがありました。
そのとき、「自分はこの下落を冷静に見られない」と気づいたんです。
「これって本当に自分のための投資なんだろうか?」
「増やすことばかり考えて、心の余裕を失ってるのでは?」
そう感じた瞬間、チャートを閉じて深呼吸しました。
あのとき、初めて“お金との距離を見直そう”と思えた気がします。
考え方が変わったきっかけ
チャートを見ない期間をつくった
義務感だけで投資を続けていた頃、私は毎日のようにチャートを開き、価格の上下で感情が乱れていました。
「今日は上がった」「昨日より下がった」と、投資が“数字のゲーム”のようになっていたんです。
そんな自分に疲れてしまい、思い切ってチャートを一切見ない1か月を過ごしてみることにしました。
積立設定だけはそのままにして、日々の値動きは確認しない。
最初は落ち着かず、「今どうなっているんだろう」と気になって仕方がありませんでした。
でも数週間経つと、思った以上に生活に影響がないことに気づきます。
むしろ、相場を気にしない時間の方が穏やかに過ごせるようになりました。
そのとき、ようやく理解しました。
「自分が相場を動かしているわけではないのに、なぜこんなに支配されていたんだろう」と。
“増やすこと”より“整えること”にフォーカスした
それから私は、「どうすれば利益を増やせるか」よりも「どうすれば気持ちを整えて続けられるか」に意識を向けるようになりました。
投資に限らず、仕事や生活でも、続けるためには“感情の安定”が欠かせません。
そこでルールを決めました。
- 積立設定は一度決めたら基本的に変更しない
- 運用確認は月1回だけ
- 含み損を見ても「予定どおり下がってる」と考える
- 「焦り」を感じたら、売買せずに散歩に出る
この小さなルールを守ることで、徐々に**“感情に流されない投資”**ができるようになりました。
投資を「楽しめる」ようになったのは、この“整える習慣”を持てたことが大きいと思います。
投資を“自分と向き合う時間”と捉えるようになった
以前は、投資=「お金を増やすための手段」でした。
でも今では、投資は“自分と向き合う時間”だと感じています。
- どんなリスクなら安心して持てるのか
- 将来、どんな生活をしたいのか
- 今のお金の使い方に後悔はないか
投資を通して、こうしたことを考える時間が増えました。
それは数字ではなく、自分の価値観を確認する時間。
お金と真剣に向き合うことで、漠然とした不安が少しずつ薄れ、「自分の人生を自分で選べている」という実感が生まれました。
楽しめる投資習慣を作るために意識していること
1. 無理のない金額で続ける
投資を続ける上でいちばん大切なのは、「続けられる金額」で始めることだと思います。
最初の私は、「多く積み立てたほうが早く増えるはず」と考えて、収入ギリギリの金額を設定していました。
でも数か月後、生活費が足りなくなり、結局積立を一時停止。
そのとき気づきました。
“続けること”こそが、投資の最大のリターンだということ。
それ以来、私は「使わなくても気にならない金額」で設定しています。
投資は“体力勝負”ではなく“持久走”。
無理をしない設定にするだけで、長く穏やかに続けられるようになりました。
2. 目的を「安心」に置き換える
以前は「もっと増やしたい」「早く資産を作りたい」と思っていましたが、
今は「お金の不安を減らすために投資している」と考えています。
目的を“増やすこと”から“安心を積み上げること”に変えると、結果に一喜一憂しなくなりました。
資産が増えたときは「これで少し未来が楽になるな」と思えるし、
下がったときも「これも経験のひとつ」と冷静に受け止められます。
3. 投資を生活の一部にする
投資を「特別なこと」と思っているうちは、どこかプレッシャーを感じてしまいます。
でも、家賃を払うのと同じように“毎月の固定費の一部”と考えると、自然と習慣化されていきます。
私の場合は、給料が入ったらまず自動で投資用口座に振り分けるよう設定しています。
そうすると、残りの金額で生活するのが当たり前になり、投資を“考えなくてもできること”に変えられました。
習慣になったことで、投資は「やらなきゃ」ではなく「今日も積み立ててる」という小さな安心に。
この“無意識で続けられる仕組み”が、投資を楽しむいちばんの秘訣かもしれません。
4. 結果より「続いている自分」を褒める
投資は短期間で成果が出るものではありません。
だからこそ、結果ではなくプロセスを評価することを意識しています。
- 相場が荒れても積み立てを止めなかった
- 無理なリスクを取らずに続けられた
- 1年を通して自分のルールを守れた
こうした“小さな継続”を褒めるようになってから、投資がぐっと楽しくなりました。
数字よりも、「自分で決めたことを守れた」ことが自信につながる。
そう思えるようになると、投資は“我慢の時間”ではなく“自己成長の時間”に変わります。
5. 投資を通じて、自分を知る
投資をしていると、自分の性格がよく分かります。
リスクを取るのが怖いタイプなのか、それとも慎重すぎるタイプなのか。
自分の行動パターンを観察していると、「お金の扱い方=生き方」だと感じるようになりました。
私はこの“自分を知る感覚”が、投資を楽しむ最大の理由です。
お金の増減を超えて、「自分がどういう人間なのか」を少しずつ理解できる──
それが、長く付き合うモチベーションにつながっています。
まとめ:投資は「増やす」より「続ける」を楽しむこと
投資を始めたころは、誰もが「早く増やしたい」と思うものです。
でも続けていくうちに分かるのは、増やすことより“続けられる仕組み”を作ることのほうが大切だということ。
市場の波に一喜一憂するよりも、「今月も積み立てできた」「焦らずに続けられた」といった小さな積み重ねこそ、未来の大きな安心につながります。
そして何より、投資を“義務”から“習慣”に変えたとき、初めて心から楽しめるようになります。
投資は競争でも、短距離走でもありません。
自分のペースで、少しずつ前へ。
お金を増やす過程そのものを、ぜひ自分らしく楽しんでいきましょう。
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