インフレ時代に現金を持ちすぎるリスク

──暴落時に動ける余力こそが“最強の防衛資金”


目次

「現金=安心」と思っていた時代は終わった

「投資は怖いから、現金で持っておく方が安心」
そう思っていた時期が、私にもありました。

でも、インフレが続く今の時代、現金を持ちすぎること自体がリスクになっています。
物価が上がる一方で、銀行に預けても金利はほぼゼロ。
つまり、現金は“増えない資産”どころか、“静かに価値を失う資産”です。

もちろん、全額を投資に回せという話ではありません。
大切なのは「どれくらいの現金を残し、どれくらいを運用するか」というバランス感覚です。
私自身、これまでの経験から「3か月分の生活費+投資70%」という形に落ち着きました。


現金を持ちすぎるリスクとは何か?

① インフレで実質的な購買力が下がる

たとえば、今100万円を銀行に預けておいたとして、年2%のインフレが続くとどうなるか。
5年後には、実質的な価値が約90万円分に目減りします。
預金残高は減っていないのに、同じ100万円で買えるモノやサービスが減ってしまうのです。

特に、エネルギーや食料品、保険料などの生活必需品が値上がりしている今、現金の価値低下は想像以上に速い。
「守っているつもりで、実は減っている」というのが現金の怖いところです。

② 金利上昇局面でも恩恵を受けにくい

「金利が上がれば預金も増えるんじゃないの?」と思う人もいますが、実際は違います。
日本の銀行預金金利は依然として年0.001%〜0.1%程度。
仮に0.1%だとしても、100万円を預けて1年で増えるのはたった1,000円
インフレ率(約2〜3%)をまったくカバーできません。

現金は“攻めのタイミングで動ける力”を持つために使うべきであり、“寝かせて増やす手段”ではないのです。


私の資産配分ルール:現金30%・投資70%

安心と効率のバランスを取る

私は現在、現金を生活費3か月分+緊急予備資金として確保し、それ以外は投資に回しています。
比率にすると、現金30%・投資70%。

このバランスにしてから、精神的にも非常に安定しました。
投資で損が出ても「生活費は確保してある」という安心感があり、焦って売ることがなくなりました。
逆に、暴落時にチャンスが来ても、「まだ現金があるから買える」と冷静に判断できます。

この“どっちにも動ける状態”を保つことが、長期投資を続けるうえで何よりも重要だと感じています。


防衛資金は「安心して攻めるための余裕」

投資で一番大事なのは「メンタルを保つこと」

どんなにリターンの良い投資でも、メンタルが崩れれば続きません。
特に暴落が来たときに「怖くて売ってしまう」最大の原因は、余裕資金の不足です。

生活費まで投資に回してしまうと、下落のたびに不安になります。
「今売らないと生活できないかも」と思った瞬間、それは投資ではなく“ギャンブル”になってしまう。

防衛資金とは、単なる“安全資金”ではなく、自分のメンタルを守るための資金でもあるのです。

防衛資金を3か月分にしている理由

私は生活費の3か月分を現金として残しています。
1か月分では不安、6か月分ではもったいない――この中間がちょうど良かった。

たとえば突然の出費(修理・医療・引っ越しなど)があっても、この金額なら落ち着いて対応できます。
それ以上を現金で持つと、今のインフレ環境では“資産を寝かせている状態”になるので、リスクの方が大きいと判断しています。


暴落時にこそ“現金の出番”が来る

今は割高相場、次の暴落に備える期間

今の株式市場は、どの指数を見ても「割高」と言われています。
特に米国株はAI関連の急騰でPER(株価収益率)が高止まりしており、
「いつか暴落が来る」と言われているのが現実です。

私はこの状況を“次の買い場に備える時間”と捉えています。
焦って今すぐ投資額を増やすのではなく、暴落が来たときに追加できる現金を確保しておく
この戦略が、後悔しないための最善策だと考えています。

“落ちたら買う”ではなく、“大きく落ちたら動く”

短期的な5%や10%の下落で慌てて買う必要はありません。
市場が本格的に調整に入るときは、誰が見ても分かるレベルで下がります。
その時に「よし、今だ」と冷静に追加投資できるように、普段から防衛資金を残しておく。

この“待つ力”こそが、長期投資家の最大の武器です。


防衛資金を増やしすぎないための考え方

「安心できる金額」は人それぞれ

防衛資金をどれくらい残すかは、人によって違います。
家族構成、収入の安定度、支出の波、メンタルの強さ――どれも条件が違うからです。
だからこそ、「この割合が正解」というものはありません。

ただ1つ言えるのは、不安を感じない範囲で投資をすることが最も長続きするということ。
安心感を保ちながら投資を続けることが、結果的に最大のリターンにつながります。

「現金を多く持つ=慎重」ではない

現金を多く持っている人は、一見“堅実”に見えます。
しかし、長期的にはインフレで資産価値を減らしてしまう可能性が高い。
守るために動かないのは、実は一番リスクの高い選択なのです。

大切なのは、「守りながら増やす」こと。
そのためには、現金をただ持つのではなく、動かす準備をしておくことが重要です。


まとめ:防衛資金は「守り」ではなく「攻めの準備金」

インフレ時代の資産運用において、現金は“安全資産”ではなく“戦略資産”です。
持ちすぎても損、少なすぎても不安。
その中で、自分にとっての最適バランスを見つけることが何よりも大切です。

私にとっての答えは、

  • 現金30%:3か月分の生活費+緊急用
  • 投資70%:オルカンとNASDAQ100で長期積立

そして、「暴落時に追加できる余力を残しておくこと」。
これが、長期的に資産を増やしながらも、心を安定させるための最強の防衛策だと感じています。

不安にならない範囲で投資を続ける。
それが、インフレ時代における“本当のリスク回避”です。


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この記事を書いた人

だっちのアバター だっち 会社員投資家

20代後半の会社員投資家です。
「経済的自由=FIRE」を目指し、インデックス投資・個別株・FXを実践中。
初心者にもわかりやすく資産運用の情報を発信しています。
一緒にコツコツ資産形成をしていきましょう!

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