「iDeCoとNISA、どっちを始めたらいいの?」
資産運用を始めようとすると、必ずといっていいほど出てくるこの疑問。
私自身も20代で投資を始めたとき、最初に迷ったのがこの2つでした。
どちらも“税金の優遇が受けられる”という共通点がありますが、
目的や使い勝手、メリットはまったく異なります。
SNSやYouTubeでは「NISAが最強!」という声もあれば、
「iDeCoの節税が一番お得!」という意見もあり、結局何から始めるべきか分からない──。
この記事では、
- iDeCoとNISAの仕組みと違い
- どちらを優先すべきか(20代の実体験ベース)
- 両方をどう活用すれば効果的か
を、専門用語をできるだけ使わずにわかりやすく解説していきます。
iDeCoとNISAの基本をわかりやすく整理
iDeCo(イデコ)とは?
iDeCoは「個人型確定拠出年金」と呼ばれる制度です。
名前の通り、「老後資金づくり」に特化した仕組みで、
掛金が全額所得控除の対象になる=節税効果が非常に高いのが特徴です。
掛金を自分で決めて積み立て、投資信託などで運用し、
60歳以降に一括または分割で受け取ります。
✔️ iDeCoのポイント
- 掛金が所得控除(税金が減る)
- 運用益も非課税
- 60歳まで引き出せない(流動性は低い)
つまり、「老後資金を確実に積み上げたい人」や「節税したい会社員」にとっては、
非常に有効な制度です。
NISAとは?
NISAは「少額投資非課税制度(Nippon Individual Savings Account)」の略。
こちらはiDeCoと違い、いつでも引き出せる自由度の高い制度です。
2024年から制度が改正され、「新NISA」としてより使いやすくなりました。
特徴は、運用益(利益)に税金がかからないこと。
通常なら約20%課税される利益が、非課税のまま再投資できます。
✔️ NISAのポイント
- 運用益が非課税(課税20%→0%)
- いつでも引き出せる
- 年間最大360万円まで投資可能(つみたて枠+成長投資枠)
つまり、短中期的に「資産を増やす」目的に向いた制度です。
「自由度の高い運用」と「非課税効果の大きさ」で、若い世代にも人気が広がっています。
一言でまとめると…
- iDeCo:老後資金を“守る制度”(節税・長期固定)
- NISA:お金を“増やす制度”(自由度・柔軟性)
どちらも素晴らしい制度ですが、
ライフステージや目的によって「どちらを優先すべきか」は変わってきます。
共通点と違いを表で比較
「iDeCoとNISA、どちらも“投資で税金が優遇される制度”」という点では共通しています。
しかし実際には、目的・使い勝手・メリットの方向性がまったく違います。
違いを理解するために、まずは以下の比較表をご覧ください。
| 項目 | NISA(新NISA) | iDeCo(個人型確定拠出年金) |
|---|---|---|
| 目的 | 資産形成・運用益を非課税にして増やす | 老後資金を積み立て、節税しながら備える |
| 税制優遇 | 運用益が非課税(通常20.315%→0%) | 掛金が全額所得控除+運用益も非課税 |
| 引き出し時期 | いつでも自由に引き出せる | 原則60歳まで引き出せない |
| 年間投資上限額 | 年360万円(つみたて枠120万+成長投資枠240万) | 月5,000〜68,000円(職業による) |
| 投資対象 | 投資信託・ETF・株式など | 投資信託・定期預金・保険など |
| 対象年齢 | 制限なし(18歳以上で利用可能) | 20歳以上60歳未満(70歳まで延長予定) |
| メリット | 自由度が高く、利益をいつでも使える | 節税+将来の年金づくりに最適 |
| デメリット | 節税効果はない(運用益のみ非課税) | 途中で引き出せない・手数料がかかる |
| 向いている人 | 柔軟に運用して将来の資産を増やしたい人 | 老後資金を確実に積み立てたい人、節税したい会社員 |
ポイント①|「いつでも使える」か「60歳まで引き出せない」か
NISAの最大のメリットは流動性(自由に使えること)です。
例えば、旅行・引っ越し・結婚など、人生のイベントに合わせて自由に資金を使えます。
一方でiDeCoは、60歳まで原則引き出せないという厳格なルールがあります。
この点を理解せずに始めると、「途中で使えないのか…」と後悔するケースも。
💡 まとめると:
- 短〜中期の資産形成 → NISA
- 長期(老後資金)対策 → iDeCo
目的が違うからこそ、「どちらか1つ」ではなく、ライフステージに合わせて併用するのが理想的です。
20代がどちらを優先すべきか
結論:まずは「NISA」から始めるのがおすすめ
私の実体験からも、20代で資産運用を始めるなら
まずはNISAを優先するのが現実的で効果的です。
その理由は3つあります。
理由①|自由に引き出せる「使いやすさ」
NISAの最大の魅力は、いつでも資金を引き出せる自由度にあります。
20代は転職・結婚・引っ越しなどライフイベントが多く、
“資金を動かせる柔軟性”が非常に重要です。
一方、iDeCoは原則60歳まで引き出せません。
そのため、「いざという時に使えない」というリスクがあります。
まずはNISAで投資の仕組みを理解し、
生活の変化にも対応できる形で始めることをおすすめします。
💡 ポイント
「使う自由」があるからこそ、“続けやすい”のがNISA。
理由②|少額からでも“時間を味方にできる”
NISAは月1万円からでも始められ、
20代からコツコツ積み立てることで「時間の複利効果」を最大限に活かせます。
たとえば、月3万円を年5%で30年間積み立てると、
元本1,080万円に対して約2,500万円に増える計算です。
この“時間の力”を使えるのが、若い世代の最大の特権。
早く始めるほど、同じ金額でも得られるリターンが大きくなります。
💡 20代で始める=少額でもFIREの土台を作れる
理由③|「複利×非課税」で効率的に増やせる
通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかります。
しかしNISAでは、運用益に一切税金がかからないため、
複利の効果を損なわずに資産を増やせます。
つまり、
- 毎年の運用益をそのまま再投資できる
- 長期で見ると“税金を払わない分”だけ資産が雪だるま式に増える
この「非課税×複利」という組み合わせが、
NISAが“20代に最も有利な制度”と言われる理由です。
では、iDeCoは後回しでいいのか?
決してそうではありません。
iDeCoは“節税効果が高い”という明確な強みがあります。
特に、以下のような人はiDeCoの恩恵を受けやすいです。
- 会社員・公務員など、所得税・住民税を多く払っている人
- 長期的に老後資金を積み立てたい人
- 将来の年金受け取りを安定させたい人
つまり、NISAで育て、iDeCoで守るのが理想的な順番。
まずはNISAで投資に慣れ、余力ができたらiDeCoも並行して始めるのがベストです。
実際に両方やってみた私の体験
NISAは“成長のため”、iDeCoは“守りのため”
私は20代前半からつみたてNISAをスタートし、
少し遅れてiDeCoも始めました。
最初は「どちらか1つでいいだろう」と思っていましたが、
実際に運用してみると、この2つの制度はまったく性格が違うと実感しました。
- NISA:将来の資産を“育てる”ための制度
- iDeCo:老後資金を“守りながら積み立てる”ための制度
この2つを組み合わせることで、
「短期の柔軟さ」と「長期の安定性」を両立できるようになりました。
私のリアルな運用内容
| 制度 | 月額 | 投資内容 | 目的 |
|---|---|---|---|
| つみたてNISA | 100,000円 | S&P500 + 全世界株式(オルカン) | 将来の資産形成・FIRE準備 |
| iDeCo | 5,000円 | 全世界株式インデックス型 | 老後資金づくり+節税対策 |
NISAは「いつでも解約できる」ため、精神的な安心感があります。
一方でiDeCoは「引き出せない代わりに、確実に老後資金が貯まる」。
つまり、どちらも“貯金ではできないお金の育て方”をしてくれる存在です。
実際に使って感じたメリット・デメリット
NISAのメリット
- 非課税で自由に引き出せる
- 少額でも始めやすい
- 投資のモチベーションが上がる
NISAのデメリット
- 節税効果はない
- 投資額が多いと値動きに慣れるまで不安を感じる
iDeCoのメリット
- 掛金が全額所得控除で節税になる
- 強制的に“老後の自分”へ貯金できる
- 運用益も非課税
iDeCoのデメリット
- 60歳まで引き出せない
- 手数料(口座管理料)がかかる
- 投資信託の選択肢がやや限られる
両方を使うことで“お金の安心感”が変わった
2つを併用するようになってから、
「今の生活」と「将来の生活」のどちらにも安心感が生まれました。
- NISA:今後のライフイベントに備える資金
- iDeCo:60歳以降の生活を支える資金
どちらか一方ではなく、時間軸の違う“2つの財布”を持つイメージです。
特に20代のうちに始めておくことで、
“積み上がる安心”を早い段階で感じられるようになりました。
初心者におすすめの組み合わせ方
ステップ①:まずはNISAで“育てる”
最初の一歩としておすすめなのは、つみたてNISAです。
理由はシンプル──「いつでも解約できる」からです。
20代はライフイベントが多く、数年先の資金計画が読みづらい時期。
そのため、自由度の高いNISAでお金を“育てながら柔軟に使える”状態を作るのが最優先です。
たとえば、
- 月1〜3万円をインデックスファンドに自動積立
- 余裕資金は「成長投資枠」でETFや株式も検討
最初から完璧を目指す必要はなく、
“続ける仕組み”をつくることが第一歩になります。
💡 NISA=「お金を増やす」ステージ。
自分のペースで育てながら、投資に慣れていく期間です。
ステップ②:余裕が出たらiDeCoで“守る”
NISAに慣れてきたら、次はiDeCoで老後資金を“守る”ステップへ。
節税効果を実感できるようになるのは、ここからです。
たとえば月5,000円でも、1年で6万円の拠出。
所得税率20%の人なら年間1.2万円の節税効果があります。
これを30年続けると、節税効果だけで約36万円。
しかも運用益も非課税のため、
「老後資金づくり+節税」という2つの目的を同時に達成できます。
💡 iDeCo=「お金を守る」ステージ。
60歳まで引き出せない=強制的に“未来の自分”への貯蓄。
ステップ③:自動積立で“続ける仕組み”を作る
資産運用の最大の敵は、「続けられないこと」です。
最初に熱意をもって始めても、数ヶ月でやめてしまう人は少なくありません。
そこで重要なのが、“自動化”による継続力。
NISAもiDeCoも、どちらも「自動積立」を設定しておけば、
放っておいても毎月投資が続きます。
私はこの仕組みを作ってから、
「投資=頑張ること」ではなく、「生活の一部」になりました。
✔️ 続けるコツは、“考えなくても続く環境”を作ること。
NISA+iDeCoを10年続けた場合のシミュレーション
仮に20代で以下のようにスタートした場合を想定します。
- 新NISA(つみたて+成長投資枠):月10万円(年120万円)
- iDeCo:月5,000円(年6万円)
- 運用利回り:年4%
この条件で10年間積み立てると、
総拠出額は1,260万円 に対して、資産は 約1,520万円 に成長します。
さらにiDeCoの節税効果(年間1〜2万円程度)を加えると、
実質的なリターンは約300万円前後のプラスとなります。
💡 投資額が大きくても、「時間×複利」の力を活かせば堅実に資産は増える。
続ける仕組みさえ作れば、10年後には確かな成果を実感できるはずです。
まとめ|目的別に使い分けるのが最適解
iDeCoとNISA、どちらも“税制優遇”が受けられる非常に優秀な制度です。
しかし、その性質と目的はまったく異なります。
- NISA:お金を増やす制度(柔軟・自由度重視)
- iDeCo:お金を守る制度(節税・老後資金特化)
どちらが正しい、という話ではなく、
自分のライフプランに合わせて使い分けることが最も重要です。
20代は「増やすNISA」から始めよう
20代は、まだ人生の選択肢が多く、将来の変化にも対応できる柔軟性が必要です。
そのため、まずは自由度の高いNISAから始めるのが現実的な選択。
- いつでも引き出せる安心感
- 少額から始めやすい手軽さ
- 時間を味方につけられる長期投資
これらの特徴を活かすことで、20代でも無理なく「資産が育つ仕組み」を作れます。
そしてiDeCoで“未来の安心”を積み上げる
NISAに慣れてきたら、次はiDeCoで「老後資金を守るステージ」へ。
節税という確実なリターンを得ながら、
60歳以降の生活を支える“年金のもう一つの柱”を作るイメージです。
💡 増やすNISA × 守るiDeCo
この2つを組み合わせることで、「今」と「未来」の両方に強い家計が作れます。
最後に──“選択できる自分”になるために
資産運用の目的は、お金を増やすことではありません。
お金を通して「生き方を選べる自由」を手に入れること。
NISAもiDeCoも、その自由を得るための「仕組み」にすぎません。
20代という“時間のアドバンテージ”を活かして、
今日から1歩ずつ、自分の未来をデザインしていきましょう。

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