「お金がお金を生む」
投資を始める前、この言葉がどうしても信じられませんでした。
働かないとお金は入ってこない。収入を増やすには、残業するか、副業するか、転職するか。当時の私にとって、お金を得る手段はすべて「自分の時間を差し出すこと」でした。
しかし、投資を5年続けてきた今、少しずつ実感が変わってきています。
私の資産は、私が寝ている間も、旅行している間も、体調を崩している間も、毎日わずかずつ動いています。もちろん上がる日もあれば下がる日もある。でも長い目で見れば、確かに「働かなくても回る仕組み」が育ってきている。
これが「マネーマシン」と呼ばれるものの正体です。
この記事では、マネーマシンとは何か、なぜ強いのか、そしてどうやって作っていくのかを、私自身の経験を交えながらお伝えします。
マネーマシンとは何か
まず、言葉の定義をはっきりさせておきます。
マネーマシンとは、「自分が働かなくても、毎年お金を生み出し続ける仕組み」のことです。
ポイントは3つあります。
一度作れば、自動で回り続けること。元本が大きくなるほど、生み出す金額も増えること。そして、短期ではなく長期で効いてくること。
副業や残業とは根本的に違います。副業は自分の時間を切り売りして収入を得ますが、マネーマシンは時間を使わずに回り続けます。
私自身、副業でビジネスコンサルやマーケティング支援をしていますが、これは「働いた分だけ」の収入です。一方、積立投資で育てている資産は、私が何もしなくても毎日動いている。この違いは、長期で見るほど大きくなっていきます。
マネーマシンの基本構造
マネーマシンの構造は、実はとてもシンプルです。
基本の式はこうなります。
年間に生み出す金額 = 投資元本 × 年利回り
長期投資の世界では、年7%という数字がよく使われます。これを当てはめると、元本ごとの年間リターンは以下のようになります。
元本100万円なら年7万円。元本1,000万円なら年70万円。元本3,000万円なら年210万円。元本5,000万円なら年350万円。
もちろん、7%は「毎年必ず」ではなく「長期平均」という前提です。ある年はマイナス20%になることもあれば、プラス30%になる年もある。でも、20年、30年という単位で見れば、この数字は現実的なラインだと考えられています。
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なぜ7%を前提にしていいのか
7%という数字に「本当に?」と思う方もいるかもしれません。
世界株式の長期リターンは、歴史的に見ると年5〜7%前後で推移してきました。インフレを考慮しても、実質でプラスが期待できる水準です。
これは夢の数字ではなく、過去100年以上のデータに基づいた現実的なラインです。
もちろん、短期では大きく上下します。リーマンショックのような暴落もあれば、コロナ後のような急騰もある。でも、長期で均せば、このくらいのリターンが期待できるというのが、多くの研究で示されています。
だからこそ、マネーマシンは「長期で効く」という前提が大切になります。
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マネーマシンが「強い」理由
マネーマシンには、労働収入にはない強さがあります。
自分の労働と切り離されている
アルバイトも残業も副業も、働かなければ収入はゼロです。体力にも時間にも限界があります。
一方、マネーマシンは寝ていても回ります。体調が悪くても止まりません。年齢を重ねても続きます。
私が月10万円の積立投資を続けているのは、まさにこの「切り離し」を作りたいからです。今は労働収入に頼っていますが、いつか労働収入が減っても、マネーマシンが回っていれば選択肢が広がる。そう考えています。
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元本が増えるほど、加速度的に強くなる
マネーマシンの本質は複利です。
1年目、元本300万円で利益21万円。2年目、321万円で利益22.4万円。3年目、343万円で利益24万円。
利益が、次の年のマネーマシンを大きくする。この繰り返しが、時間とともに加速度的な成長を生み出します。
最初の数年は「たった数万円か」と感じるかもしれません。でも10年、20年と続けると、その差は想像以上に大きくなります。
生活を支える「防御力」になる
マネーマシンが生み出すお金は、贅沢をするためというより、「安心」を買うためのものだと私は考えています。
たとえば、年70万円あれば固定費の一部をカバーできます。年210万円あれば、転職や休職、独立を考えるときの心理的ハードルがぐっと下がります。
「自由に使えるお金」というより、「失っても死なない安心感」をくれる。それがマネーマシンの本当の価値ではないかと思っています。
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マネーマシンを作るために必要なもの
では、マネーマシンはどうやって作るのか。必要なものは3つあります。
まとまった元本(=時間)
最初にはっきり言っておくと、マネーマシンは一瞬では作れません。
元本は「積み上げるもの」です。収入から支出を引いた残りを、コツコツと投資に回していく。だからこそ、生活設計が重要になります。
私の場合、転職で残業がなくなり、生活コストを見直したことで、月10万円を積立に回せるようになりました。収入が下がっても投資額を増やせたのは、支出を最適化したからです。
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積立を止めない仕組み
マネーマシン作りで一番の敵は、相場の暴落と、それに伴う不安です。
「やっぱり怖いからやめる」
これが最大のリスクです。
だからこそ重要なのは、毎月自動で積立が実行される仕組みを作ること。判断を挟まない。ニュースを見て売らない。「意思」ではなく「仕組み」で続ける。
私はSBI証券で毎月10万円の自動積立を設定しています。給料日に自動で引き落とされるので、「今月はやめようかな」という迷いが入る余地がありません。
関連記事:なぜ長期投資では「予想しない人」の方が有利なのか──積立銘柄を入れ替え続けた私が学んだこと
途中で「壊さない」こと
多くの人がここで失敗します。
途中で取り崩す。銘柄を頻繁に変える。短期で成果を求める。
マネーマシンは、完成前が一番弱い状態です。小さいうちに壊すと、何も残りません。
私自身、投資を始めた頃は銘柄を入れ替えたり、相場を予想して売買したりしていました。でも結局、一番成績が良かったのは「何もしなかった銘柄」でした。この経験から、今は積立を淡々と続けることだけに集中しています。
マネーマシンが「完成に近づく瞬間」
マネーマシンには、完成の目安となるラインがあります。
年30万円を生み出せるようになると、「ちょっとした安心」が生まれます。年70万円なら、固定費の一部をカバーできる感覚が出てきます。年200万円を超えると、働き方を選べる余裕が見えてくる。年300万円以上になれば、生活の主導権が自分に戻ってくる。
もちろん、生活費のすべてをマネーマシンで賄う必要はありません。労働収入と組み合わせながら、少しずつ「お金の不安」を削っていく。それが現実的なアプローチだと思います。
私自身、まだ年30万円のラインにも達していません。でも、毎月の積立を続けることで、確実にそこに近づいている実感があります。
まとめ
マネーマシンが教えてくれたこと
マネーマシンは、一発逆転の話ではありません。むしろ、地味で、時間のかかる仕組みです。
でも一度回り始めると、自分の人生から「お金の不安」を少しずつ削ってくれます。
私がこの5年で学んだのは、マネーマシンを作る過程そのものが、お金との向き合い方を変えてくれるということでした。支出を見直し、積立を続け、相場に一喜一憂しない。その習慣が、資産だけでなく、心の余裕も育ててくれている気がします。
7%で回るマネーマシンを、今日も1ミリだけ大きくする。それが、長期投資の本質だと私は思っています。
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参考サイト
- 金融庁「資産運用シミュレーション」
- 野村證券「長期投資のすすめ」
- 三菱UFJアセットマネジメント「長期・積立・分散投資とは」
- ウォートン・スクール「Stocks for the Long Run(ジェレミー・シーゲル)」

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