はじめに:年末は投資を「見直す」絶好のタイミング
年末になると、「今年の投資はこれでよかったのか?」と振り返りたくなります。
私も投資を始めた最初の年は、12月になると不安になりました。「もっと早く買っておけばよかった」「あの銘柄を選んでいれば」そんなことばかり考えていました。
でも、数年間投資を続けてきて分かったことがあります。
年末にやるべきことは、実はそれほど多くありません。むしろ、「やらなくていいこと」の方が多いです。
結論から言うと、年末の投資チェックは15分で終わります。
確認すべきは5つだけ。それ以外は、何もしなくて大丈夫です。
年末だからといって、投資方針を大きく変える必要はありません。淡々と続けてきたことを、そのまま来年も続ける。それが、長期投資の正解です。
この記事で分かること
- 年末に確認すべき5つのチェックリスト
- 年末に「やらなくていいこと」と、その理由
- 来年に向けた投資方針の決め方
- 著者が実際に年末にやっていること
年末の投資チェックリスト(5項目)
①ふるさと納税の駆け込み確認
締め切りは12月31日の23:59まで。
ふるさと納税は、年末に必ず確認すべき項目です。
2025年分のふるさと納税は、2025年12月31日までに寄附を完了させる必要があります。
確認ポイント:
- 今年の上限額を使い切ったか?
- まだ余裕があるなら、年内に追加寄附する
私は、毎年12月に上限額を確認して、駆け込みで追加寄附をしています。
注意点:ワンストップ特例の期限
ワンストップ特例の申請書提出期限は、翌年の1月10日です。
12月31日に寄附をした場合、申請書の提出が年明けになります。年末年始で忘れないように、スマホのリマインダーに登録しておくと安心です。
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②NISA枠の使い残し確認
新NISAは、年間の非課税投資枠が決まっています。
- つみたて投資枠:年間120万円
- 成長投資枠:年間240万円
この枠は、翌年に繰り越せません。
使い切れなかった分は、消滅します。
確認すべきポイント:
- 今年の投資枠を使い切ったか?
- まだ余裕があるなら、年内に追加投資するか?
ただし、ここで重要なのは、無理に枠を埋める必要はないということです。
「枠が余っているから」という理由で、無理に投資をするのは本末転倒です。
私の考え方は、こうです。
毎月の積立で自然に埋まる分だけで十分。余った枠は、気にしない。
NISA枠を使い切ることが目的ではありません。長期的に資産を増やすことが目的です。
年収や支出の状況によっては、NISA枠をすべて使い切れない年もあります。それで問題ありません。
無理に投資額を増やして、生活費が足りなくなる方が問題です。
年内に追加投資する場合の注意点
もし年内に追加投資をする場合、最終注文日に注意してください。
投資信託の場合、原則として年内に約定すればその年の投資枠として扱われます。ただし、商品や証券会社によって最終注文日が異なるため、12月下旬は必ず事前に確認しておきましょう。
③ポートフォリオの確認(リバランスは必要か?)
年末は、ポートフォリオ全体を確認する良いタイミングです。
確認すべきポイント:
- 資産配分が大きく崩れていないか?
- 想定外の資産が増えすぎていないか?
たとえば、「株式70%、債券30%」という配分で投資を始めたとします。
1年後、株式が大きく値上がりして「株式85%、債券15%」になっているかもしれません。
この場合、リバランス(資産配分を元に戻すこと)を検討します。
リバランスの方法
リバランスには、2つの方法があります。
- 増えた資産を売却して、減った資産を買う
- 新規の積立を、減った資産に集中させる
私は、基本的に2の方法を使います。
売却すると、NISA口座以外では税金がかかります。新規の積立で調整する方が、税金の面でも効率的です。
ただし、リバランスは必須ではありません。
私は、年に1回確認するだけで、実際にリバランスをすることは少ないです。
大きく崩れていなければ、何もしません。
資産配分が「株式70%」から「株式75%」に変わった程度なら、気にする必要はありません。
「株式90%」など、極端に偏った場合だけ、リバランスを検討すればいいと思っています。
④配当金・分配金の再投資設定
配当金や分配金の再投資設定を確認しましょう。
確認すべきポイント:
- 配当金・分配金を「再投資」に設定しているか?
- 「受け取り」になっていないか?
配当金や分配金を受け取ると、その都度税金がかかります(NISA口座を除く)。
再投資に設定しておけば、自動的に投資に回され、複利効果が得られます。
私は、すべての投資信託で「再投資」に設定しています。
配当金を受け取って使う予定はないので、自動的に再投資される方が効率的です。
注意:NISA口座の場合
NISA口座では、配当金や分配金は非課税です。
ただし、株式の配当金を非課税にするには「株式数比例配分方式」に設定する必要があります。
証券会社の設定を確認しておきましょう。この設定が「登録配当金受領口座方式」になっていると、配当金が非課税になりません。
年末に、証券会社のマイページで確認してみてください。
⑤来年の積立額・投資方針の決定
最後に、来年の投資方針を決めます。といっても、基本的には「今年と同じ」で問題ありません。
確認ポイント:
- 来年の積立額は今年と同じでいいか?
- 収入や支出が変わる予定はあるか?
私の場合、来年も今年と同じ方針で続けます。毎月の積立額も、投資する銘柄も、変えません。
ただし、収入が大きく変わる場合は、積立額を調整します。昇給したら積立額を増やす。転職して収入が減ったら、積立額を減らす。それくらいです。
投資方針を変えない理由
投資方針を頻繁に変えると、失敗しやすくなります。
市場の動きを見て、「2026年は〇〇が良さそうだから、銘柄を変えよう」と考えるのは危険です。
長期投資では、市場を予想しないことが重要です。淡々と、同じ方針で積み立てを続ける。それが、最も確実な方法です。
私は、投資を始めて最初の2年間、毎年のように銘柄を変えていました。「今年は日本株が上がりそう」「米国株が下がるかも」そんなニュースに振り回されて、銘柄を入れ替えていました。
でも、結果は散々でした。タイミングを外して高値で買い、安値で売る。典型的な失敗パターンです。
それ以降、私は投資方針を変えないことにしました。毎月、同じ銘柄に、同じ金額を積み立てる。ただそれだけです。
この方針に変えてから、投資のストレスが減り、成績も安定しました。
関連記事:【投資の核心】なぜ長期投資では「予想しない人」の方が有利なのか
年末に「やらなくていいこと」3つ
年末にやるべきことは少ないです。むしろ、「やらなくていいこと」を知っておく方が重要です。
①慌てて売買する
年末だからといって、慌てて売買する必要はありません。
「今年のうちに利益を確定させよう」「損失を出している銘柄を売ってしまおう」こうした判断は、ほとんどの場合、不要です。
長期投資では、短期的な利益確定や損切りは意味がありません。年末は、ただの区切りです。
私も、投資を始めた最初の年は、年末に利益確定をしてしまいました。「今年はプラスで終わりたい」という気持ちが先行したのです。
でも、その銘柄は翌年も上がり続けました。早く売りすぎたことを後悔しました。
それ以降、私は年末に売買をしないことにしています。
②税金対策の損出し(初心者には不要)
「損出し」という手法があります。含み損を抱えている銘柄を年内に売却して、利益と相殺することで税金を減らす方法です。
ただし、これは上級者向けです。初心者が損出しをすると、かえって失敗します。
私自身は、年末に損出しをすることはありません。年間の利益が大きくない段階では、無理に税金対策をするより、保有を続ける方がシンプルだと考えています。
損出しは、年間の利益が数百万円を超えるような人が検討すればいい話です。年間の利益が数十万円程度なら、損出しをしても節税効果は限定的です。
③市場予想に基づく銘柄変更
「2026年は〇〇が上がりそうだから、銘柄を変えよう」
年末になると、こうした市場予想が増えます。でも、市場を予想して投資判断をするのは、失敗のもとです。
プロのアナリストでも、市場予想は外れます。個人投資家が市場を予想して勝ち続けることは、ほぼ不可能です。
私は、市場予想を見ても、銘柄を変えません。年末も、年始も、同じ銘柄に積み立てを続けます。
2024年の年末、多くのメディアが「2025年は日本株が下がる」と予想していました。でも、実際には日経平均は大きく上昇しました。
市場予想は、当たらないものです。予想に基づいて銘柄を変えるより、淡々と同じ銘柄に積み立てを続ける方が、長期的には良い結果になります。
私が実際に年末にやっていること
私が年末にやっていることは、本当にシンプルです。
やっていること:
- ふるさと納税の上限額を確認して、駆け込み寄附
- NISA枠の使い残しを確認(ただし無理に埋めない)
- ポートフォリオを眺めて、大きく崩れていないか確認
- 来年の積立額を決める(ほぼ同じ)
やっていないこと:
- リバランス(よほど崩れていない限り)
- 銘柄の変更
- 損出し
- 市場予想に基づく投資判断
年末の棚卸しは、15分もあれば終わります。投資は、複雑にする必要はありません。
やるべきことをやったら、あとは放置。それが、一番うまくいきます。
投資を始めた最初の頃は、年末になると不安で、毎日チャートを見ていました。「今年の成績はどうだったか」「来年はどうなるか」そんなことばかり考えていました。
でも、数年間続けてきて分かったことがあります。年末も、年始も、投資にとっては特別な日ではありません。淡々と積み立てを続けていれば、それでいいのです。
だから私は、年末の棚卸しを15分で終わらせて、家族や友人と過ごす時間を大切にしています。
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ここまでの内容を、3行でまとめます
- 年末の投資チェックは5つだけ(15分で終わる)
- 年末に慌てて売買したり、銘柄を変える必要はない
- 来年も同じ方針で淡々と続けるだけ
まとめ:年末の棚卸しは15分で終わる

年末は、投資を大きく変えるタイミングではありません。確認すべきことは、ふるさと納税とNISA枠くらいです。
シンプルに、淡々と続ける。それが、長期投資の正解です。
年末の棚卸しは、15分で終わります。それ以外の時間は、家族や友人と過ごす方が、よほど価値があります。
だから私は、年末も年始も、投資のことはほとんど考えません。淡々と積み立てが続いていることを確認したら、あとは放置。それで、十分です。
学んだこと
- 年末の投資チェックは15分で終わる
- 慌てて売買する必要はない
- 来年も同じ方針で続けることが正解
免責事項
本記事は、筆者の個人的な経験と考えに基づいており、特定の投資商品の購入を推奨するものではありません。投資にはリスクが伴います。投資判断は、ご自身の責任で行ってください。税制に関する情報は執筆時点のものです。筆者および当サイトは、本記事の内容に基づいて行った投資判断や、その結果生じた損失について、一切の責任を負いません。

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