投資信託の「分配金」は再投資すべきか？税金と複利効果から徹底解説

2025年12月13日

投資信託を始めると、「分配金は受け取ったほうがいいのか？それとも再投資したほうがいいのか？」という疑問に直面します。

私自身も投資を始めた当初は、分配金をもらえることに魅力を感じていました。「毎月お金が入ってくる」というイメージは、投資初心者にとって安心感があったからです。しかし、実際に税金の仕組みや複利効果を理解していくうちに、「受け取ること」が必ずしも得策ではないと気づきました。

この記事では、投資信託の分配金について、受取型と再投資型の違い、税金の影響、そして長期投資における選択の目安を、私の経験も交えながら解説します。この記事を読むことで、自分の投資目的に合った分配金の扱い方が見つかるはずです。

なお、本記事は筆者個人の体験談と一般的な投資情報を基にしたものであり、特定の投資判断を推奨するものではありません。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。

分配金コースの違いとは？

受取型の特徴

受取型は、分配金を定期的に現金で受け取るコースです。毎月または毎年、決まったタイミングで分配金が証券口座に振り込まれるため、キャッシュフローが得られます。

りそな銀行の説明によると、受取型は定期的に利益を現金で受け取るためキャッシュフローが得られる一方で、分配金支払いのたびに投資信託の基準価額が下がり、再投資しない場合は複利効果が弱くなるとされています。

たとえば、退職後の生活費の一部に充てたい、毎月一定の収入がほしいといったニーズがある場合には、受取型が適していると考えられます。

ただし、分配金を受け取ることで投資元本が目減りし、長期的な資産形成という観点では不利になる可能性があります。

再投資型の特徴

再投資型は、分配金で同じファンドを自動的に買い増すコースです。分配金を受け取らずに、そのまま運用に回すことで、複利効果が得られます。

りそな銀行によると、再投資型は分配金で同じファンドを買い増すため複利効果が得られる一方で、分配金に対する約20パーセントの税金が毎回課税される点がネックとされています。

私自身は、資産形成を目的としているため、基本的に再投資型を選択しています。分配金を受け取っても使う予定がないのであれば、自動的に再投資されるほうが手間もかからず、長期的な資産の成長につながると考えているからです。

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基準価額が下がる仕組み

分配金が支払われると、その分だけ投資信託の基準価額が下がります。これは、ファンドが保有している資産から分配金を支払うためです。

たとえば、基準価額が10,000円のファンドが100円の分配金を出すと、基準価額は9,900円に下がります。この仕組みを理解していないと、「分配金がもらえるのに基準価額が下がっている」と混乱することがあります。

つまり、分配金は「利益の先取り」であり、資産全体が増えているわけではないという点を理解しておく必要があります。

税制優遇制度での違い

NISA口座内で再投資を行うメリット

NISA口座内で再投資を行うと、分配金への課税がなくなり、複利効果が最大化されます。

りそな銀行の説明では、NISA口座内で再投資を行うと分配金への課税がなくなり、複利効果が最大化されるとされています。通常、分配金には約20パーセントの税金がかかりますが、NISA口座であればこれが非課税になるため、再投資する金額が大きくなります。

私も新NISA口座で投資信託を保有していますが、分配金が非課税で再投資される仕組みは、長期投資において非常に有利だと実感しています。

一般課税口座では再投資効果が限定的

一般課税口座では、再投資型でも分配金は課税されるため、再投資効果が限定的です。

たとえば、100円の分配金が出た場合、約20パーセントの税金が引かれて約80円が再投資されます。この税金分が複利効果を弱めることになるため、長期的には大きな差になる可能性があります。

そのため、資産形成を目的とした長期投資では、NISA口座やiDeCo口座といった税制優遇制度を活用することが推奨されます。

無分配型ファンドという選択肢

分配金を出さない「無分配型ファンド」という選択肢もあります。無分配型ファンドは、分配金を出さずにファンド内で再投資を行うため、分配金への課税が発生しません。

この仕組みにより、複利効果を最大限に活かすことができます。特に、長期的な資産形成を目指す場合には、無分配型のインデックスファンドが適していると考えられます。

私が保有しているインデックスファンドも、ほとんどが無分配型です。分配金への課税がない分、効率的に資産を増やせると感じています。

シミュレーション比較

受取型と再投資型の30年後の差

りそな銀行の試算によると、年4パーセントの利回りで30年間運用した場合、毎月配当を受け取り再投資しないケースより再投資型の方が複利効果で資産残高が増えるとされています。

ただし、税引き後再投資では無配当ファンドより結果が劣るという試算も示されています。これは、再投資のたびに約20パーセントの税金が引かれるためです。

この差は、運用期間が長くなるほど大きくなります。10年、20年、30年と時間が経つにつれて、複利効果の差が顕著に現れるのです。

NISA口座では差が縮まる

NISA口座では非課税効果によって再投資型と無配当型の差が縮まるとされています。

分配金が非課税で再投資されるため、一般課税口座よりも効率的に資産を増やすことができます。そのため、長期投資には再投資型や無配当型ファンドが向いていると考えられます。

金融庁の資料でも、長期・積立・分散投資の重要性が強調されており、税制優遇制度を活用することで資産形成がより効果的になるとされています。

複利効果の威力を理解する

複利効果とは、運用で得た利益をさらに運用に回すことで、雪だるま式に資産が増えていく仕組みです。

アインシュタインが「複利は人類最大の発明」と言ったとされるほど、長期投資において複利効果は重要です。再投資型や無分配型ファンドは、この複利効果を最大限に活かすための選択肢と言えます。

私自身も、投資を始めて5年ほど経ちますが、複利効果を実感する瞬間が増えてきました。最初は少額だった資産が、時間とともに加速度的に増えていく感覚は、長期投資の醍醐味だと感じています。

選択の目安

分配金受取型が適している人

毎月一定の生活費補填や旅行・趣味などの目的で定期的な収入を得たい人は、分配金受取型が適しています。

特に、退職後の生活や、副収入として投資信託の分配金を活用したい場合には、受取型が有効な選択肢となります。

ただし、受取型を選ぶ場合でも、元本を取り崩すような分配金（いわゆる「タコ足配当」）を出しているファンドには注意が必要です。毎月分配型ファンドの中には、運用益ではなく元本から分配金を支払っているケースもあるため、長期的には資産が減少するリスクがあります。

再投資型や無分配型が適している人

資産形成を最優先する長期投資家は、再投資型や分配金を出さないインデックスファンドを選び、NISA枠やiDeCo枠を活用して税負担を減らすことが推奨されます。

私自身も、20代後半という年齢を考えると、まだ資産を取り崩す必要はありません。そのため、分配金を受け取るよりも、再投資や無分配型ファンドで複利効果を最大化することを優先しています。

将来的に、退職後や生活費が必要になった段階で、受取型に切り替えるという選択肢もあります。今は資産を育てる時期、将来は資産を使う時期、というように、ライフステージに応じて分配金の扱い方を変えることができます。

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証券会社の手数料も確認する

証券会社によっては、再投資手数料が無料か有料か異なるため、事前に確認することが重要です。

多くのネット証券では、再投資手数料は無料となっていますが、一部の証券会社や銀行では手数料がかかる場合もあります。手数料は長期的にリターンを圧迫する要因になるため、できるだけ低コストで運用できる証券会社を選ぶことが推奨されます。

私はSBI証券を利用していますが、再投資手数料が無料である点も選択理由のひとつです。細かいコストの積み重ねが、長期的には大きな差になると考えています。

まとめ

分配金の扱い方が資産形成を左右する

投資信託の分配金を受け取るか再投資するかは、投資の目的やライフステージによって異なります。

受取型は定期的な収入が得られる一方で、複利効果が弱くなり長期的な資産形成には不利になる可能性があります。再投資型は複利効果が得られますが、一般課税口座では分配金への課税が発生するため、税制優遇制度の活用が重要です。

NISA口座の活用が鍵

NISA口座を活用すれば、分配金が非課税で再投資されるため、複利効果を最大化できます。特に、長期的な資産形成を目指す場合には、NISA口座で再投資型や無分配型ファンドを保有することが有効な戦略と考えられます。

金融庁の資料でも、税制優遇制度を活用した長期・積立・分散投資が推奨されています。

自分の目的に合った選択を

分配金の扱い方に正解はありません。定期的な収入が必要なら受取型、資産形成を優先するなら再投資型や無分配型、というように、自分の目的に合わせて選ぶことが大切です。

私自身は、現時点では資産形成を優先しているため、無分配型のインデックスファンドをNISA口座で保有しています。将来的に生活費が必要になったタイミングで、受取型に切り替えることも検討しています。

投資は、人生の目的に合わせて柔軟に調整できるものです。今の自分に合った選択をしながら、長期的な視点で資産を育てていきましょう。

免責事項

投資について

本記事で紹介している投資手法や考え方は、筆者個人の経験に基づくものであり、特定の投資商品や投資手法を推奨するものではありません。投資信託の分配金の扱い方は、個人の投資目的や税制状況によって適切な選択が異なります。投資にはリスクが伴い、元本割れの可能性があります。投資判断は必ずご自身の責任で行い、必要に応じてファイナンシャルプランナーや税理士などの専門家にご相談ください。