はじめに
最近、ニュースや投資の世界で「半導体」という言葉をよく目にしませんか?
「半導体不足」「半導体バブル」「AI半導体」…。でも実際に「半導体とは何か?」と聞かれると、答えに迷う方も多いはずです。
半導体はスマートフォンやパソコンはもちろん、自動車・家電・データセンターなど、現代社会のあらゆる機器に欠かせません。その重要性から、しばしば“産業のコメ”と呼ばれることもあります。
さらに投資の世界でも「半導体株」「半導体ETF」は人気テーマのひとつ。この記事では初心者の方でも理解できるように、
- 半導体の仕組み
- 使われている場所
- 主な種類と産業構造
- 日本と世界の半導体産業の現状
- 投資家目線でのポイント
を整理していきます。
👉 関連記事:株と投資信託の違いをわかりやすく解説
半導体とは?——定義と基本の仕組み
半導体とは「導体(電気をよく通す)」と「絶縁体(電気を通さない)」の中間的な性質を持つ物質です。代表的な素材はシリコン(Si)。加工によって「電気を流す/止める」を自在に制御できます。
特に重要なのがトランジスタ。電気のスイッチの役割を担い、これを何億個も組み合わせたものが半導体チップ(IC:集積回路)です。スマホやAIが高性能化しているのは、このトランジスタをナノメートル単位まで微細化できるようになったためです。
半導体はどこで使われているのか?
半導体は「電気で動くものすべて」に関わっています。代表例は以下の通りです。
- スマートフォン・パソコン:CPU、メモリ、通信チップ
- 自動車:エンジン制御、電気自動車用のパワー半導体
- 家電:冷蔵庫、エアコン、テレビ
- データセンター:AIサーバー、クラウド基盤
- 医療機器:CTスキャナー、人工呼吸器
- 社会インフラ:5G基地局、交通システム
半導体の主な種類
- メモリ半導体
- DRAM(作業用メモリ)、NAND型フラッシュ(データ保存)
- Samsung、SK hynix、Micron が大手
- ロジック半導体
- CPU(演算)、GPU(画像処理)、AIチップ
- NVIDIA、AMD、Apple(Mシリーズ設計)、Intel など
- アナログ半導体
- センサー、電源管理
- Texas Instruments、Analog Devices など
- パワー半導体
- 大電流制御。EVや再生エネルギーに不可欠
- 日本では三菱電機、富士電機、ロームが強み
半導体産業の分業構造
半導体は国際的な分業体制で成り立っています。
- 設計(ファブレス):NVIDIA、AMD、Qualcomm、Apple
- 製造(ファウンドリ):TSMC(台湾)、Samsung(韓国)
- 製造装置:ASML(オランダ)、東京エレクトロン(日本)
- 素材・部材:信越化学・SUMCO(シリコンウェハー)、JSR(フォトレジスト)
👉 参考:SEMI Japan(半導体業界団体)
日本と世界の半導体市場
世界の構図
- TSMC:ファウンドリ分野で世界シェア約6割(2024年時点)
- 米国:設計分野(NVIDIA、AMD、Apple)で圧倒的
- 韓国:メモリ分野でSamsung・SK hynixがトップ
日本の現状
- 1980年代:製造分野で世界シェア約5割
- 現在:チップ製造は1割以下に低下
- ただし 製造装置・素材分野では世界シェア30〜60%を維持
(例:東京エレクトロン、信越化学、SUMCO、JSR) - 政府は国内生産強化のため補助金を投入(例:TSMC熊本工場/JASM)
👉 参考:経産省「半導体戦略」
半導体市場の特徴——シリコンサイクル
半導体は景気循環型産業です。
- 景気拡大 → 需要増 → 設備投資拡大
- 供給過剰 → 価格下落
- 景気後退 → 在庫調整
- 再び回復へ
この「好況と不況の繰り返し(シリコンサイクル)」は投資判断の重要ポイントです。
投資家目線での半導体
魅力
- AI・EV・5Gによる構造的な需要増加
- 各国政府が戦略産業として支援
注意点
- シリコンサイクルによる価格変動
- 技術革新スピードが速く競争激化
- 米中対立などの政治リスク
半導体関連の投資手段
- 個別株
- 米国:NVIDIA、AMD、Intel
- 台湾:TSMC
- 日本:東京エレクトロン、信越化学
- ETF
- 米国ETF:SOXX(iShares)、SMH(VanEck)
- 日本ETF:NEXT FUNDS 半導体関連株式指数(1625)
- ※NASDAQ100 ETF も半導体比率が高め
- 投資信託
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)で間接的に半導体へ投資可能
- 半導体特化型の投信も存在
👉 関連記事:ETFと投資信託の違い
まとめ
- 半導体は“産業のコメ”と呼ばれる基盤技術
- スマホからEV・AIサーバーまで生活に不可欠
- 産業は設計・製造・装置・素材に分業化
- 日本は製造シェアを失ったが、装置・素材で強みを維持
- 市場は循環型だが、AI・EV需要で長期的成長トレンド
- 初心者はまずETFやインデックス投信から始めるのが安心
👉 関連記事:NISAの始め方をゼロから解説
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