はじめに
「今年の8月から9月にかけて暴落が来るのではないか」——株式市場をウォッチしていると、このような不安を目にする機会が増えています。
特に2025年は、金融政策・政治イベント・地政学的リスクといった複数の要因が重なり、相場のボラティリティ(変動性)が高まるとの指摘もあります。
もちろん、相場の未来を100%予想することは不可能です。しかし、過去の傾向や現在のリスク要因を整理しておくことで、もし実際に暴落が起きたときに「慌てずに動ける準備」をすることは可能です。
この記事では、
- なぜ8月〜9月が荒れやすいのか
- 2025年特有のリスク要因
- 投資家が取るべき戦略
を詳しく整理していきます。
👉 関連記事:株価下落の要因を整理——8月21日の相場動向
1. なぜ8月・9月は相場が荒れやすいのか
1-1 夏枯れ相場の影響
夏場は欧米の機関投資家がバカンスに入るため、取引量が減少します。
市場参加者が少ないと、小さなニュースや一時的な売り圧力でも価格が大きく動きやすくなります。これを**「夏枯れ相場」**と呼びます。
特に日本市場は海外投資家の売買比率が高いため、夏枯れ期にはボラティリティが大きくなる傾向があります。
1-2 9月の決算期要因(米国)
米国の投資ファンドの多くは9月を会計年度末に設定しています。
そのため、利益確定売りやポジション調整が一斉に行われやすく、株価に下落圧力がかかります。
「9月は1年で最も株価が下がりやすい月」という統計は、S&P500やNYダウの過去データを見ても裏付けられています。
👉 外部参考:S&P500の月別パフォーマンス(Investopedia)
1-3 過去の暴落事例
- 2001年9月:米同時多発テロで世界的株価暴落
- 2008年9月:リーマンショック
- 2015年8月:中国株バブル崩壊(チャイナショック)
- 2022年8月:ジャクソンホール会議でパウエル議長が「利上げ長期化」を示唆し、米株急落
こうした「8月・9月の危機の記憶」が投資家心理を慎重にさせています。
👉 関連記事:FRBの利下げは株式市場の追い風になる?
2. 2025年の注目リスク
2-1 米大統領選を控えた不透明感
2025年11月の米大統領選挙を前に、各候補の経済政策が注目されています。
関税政策、財政出動、規制強化など、政権交代による市場インパクトは非常に大きいです。
特にトランプ前大統領が再び関税強化を主張しており、実際に「日米関税ディール」が合意されるなど、実務に直結する動きも出ています。
2-2 FRBの金融政策
2025年は「利下げをどのタイミングで実行するか」が焦点です。
インフレが完全に収束しない中での利下げは、再インフレを招くリスクもあり、市場は期待と失望の間で大きく揺れる可能性があります。
👉 関連記事:米国株と金利の関係を徹底解説
2-3 日本銀行の政策転換
日銀・植田総裁は2025年8月、「賃金上昇が持続するなら追加利上げを検討」と発言しました。
長期にわたり続いた「異次元緩和」からの転換が意識され、円高進行と株価調整のリスクが高まっています。
👉 関連記事:日銀・植田総裁『賃金上昇なら追加利上げ』発言を徹底解説
2-4 地政学リスク
- 米中対立の激化(台湾有事の懸念)
- 中東情勢の不安定化
- 欧州経済の停滞
これらは突発的なニュースで市場に強いインパクトを与える要因です。
3. 暴落が来たときに投資家が取るべきスタンス
3-1 積立投資は継続
暴落は一見リスクですが、長期投資家にとっては安値で買える絶好の機会でもあります。
特にNISAを活用した積立投資は「時間分散」の効果でリスクを和らげてくれます。
👉 関連記事:NISAの始め方をゼロから解説
3-2 短期取引のリスク管理
FXや短期株投資を行う人は、ロットを小さくし、損切りルールを徹底することが重要です。
暴落局面では値幅が大きくなるため、普段以上にリスクが膨らみます。
3-3 現金ポジションを厚めに
株式・投信に全額を投資せず、キャッシュポジションを2〜3割残すことで「暴落後の買い場」に備えることができます。
リーマンショック後も、現金を持っていた投資家が最も恩恵を受けました。
3-4 セクター分散で耐性を高める
- 景気敏感株(自動車・半導体)ばかりでなく、
- ディフェンシブ株(医薬品・インフラ・生活必需品)も組み合わせることで、ポートフォリオ全体の下落リスクを抑えられます。
4. まとめ
- 8月・9月は「夏枯れ」「決算期要因」により相場が荒れやすい時期
- 2025年は米大統領選、FRBの利下げ判断、日銀の利上げ検討、地政学リスクが重なり例年以上に注意が必要
- 投資家は「暴落を予測する」よりも「暴落時にどう動くか」を決めておくことが重要
長期投資はコツコツ継続、短期はリスクを抑制、そして現金余力を残しておく。
この基本を守ることで、暴落局面もむしろ資産形成のチャンスに変えることができます。
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