2025年6月、私は転職しました。
年収は下がりました。手取りで見ると、月に数万円の減収です。
普通なら、不安になるはずでした。「生活は大丈夫か」「将来は大丈夫か」と。
しかし、実際は逆でした。年収が下がったのに、不安が減ったのです。
この記事では、なぜ年収が下がっても不安が減ったのか、お金の見え方がどう変わったのかを振り返ります。キャリアや人生に悩んでいる方、将来への漠然とした不安を抱えている方の参考になれば幸いです。
※本記事は個人の体験と見解に基づく内容です。投資には元本割れのリスクがあり、最終的な判断はご自身で行ってください。
この記事の要点
① 転職前の不安
収入はあるのに、将来がなんとなく怖かった。何が足りないのか分からない不安。
② 不安が消えた瞬間
シミュレーションで「最低限はクリアしている」と分かった時、安心が生まれた。
③ 視点の変化
お金を「守る」から「使う・活かす」へ。資産形成が目的ではなく、土台になった。
「年収が下がる=不安」という常識
転職で年収が下がった
2025年6月、私はベンチャー企業への転職を決意しました。
理由は、働き方の改善です。以前の職場は長時間労働が常態化しており、心身ともに疲弊していました。新しい職場は、給料は下がるものの、労働時間が大幅に短縮され、ワークライフバランスが改善される見込みでした。
結果として、年収は下がりました。
関連記事:年収450万→400万の転職で可処分所得が増えた話──働き方改革が資産形成を可能にした実体験
普通なら不安になるはず
周りからは、こんな声が聞こえてきました。
- 「年収が下がって大丈夫?」
- 「将来が不安じゃない?」
- 「もっと給料の良い会社を探した方がいいのでは?」
確かに、普通なら不安になるはずです。年収が下がれば、生活水準が下がるかもしれない。貯金ができなくなるかもしれない。将来が不安定になるかもしれない。
でも実際は、逆だった
しかし、転職後の私は、むしろ不安が減っていました。
年収は下がったのに、なぜか心が軽くなっていたのです。
「なぜだろう?」と考えた時、気づいたのは、私の「お金の見え方」が大きく変わっていたということでした。
転職前に抱えていた「正体の分からない不安」
収入はあるのに、安心がなかった
転職前の私は、それなりの収入がありました。一人暮らしの20代としては、決して低い収入ではありません。
しかし、私には常に「正体の分からない不安」がありました。
- 「このまま働き続けて、将来は大丈夫なのか?」
- 「老後資金は足りるのか?」
- 「何かあった時に対応できるのか?」
こうした不安は、具体的な数字で説明できるものではありませんでした。ただ、「なんとなく怖い」という感覚だけが、いつもありました。
何が足りないのか分からない不安
最も辛かったのは、何が足りないのか分からないということでした。
- もっと貯金すればいいのか?
- もっと収入を増やせばいいのか?
- もっと節約すればいいのか?
何をすれば安心できるのか、その基準が見えませんでした。
だから、いくら貯金をしても、いくら収入が増えても、不安は消えなかったのです。
関連記事:20代から始める資産運用|FIREを目指す私の投資方針と実体験
「数字はあるのに、安心はなかった」状態
振り返ると、当時の私は「数字はあるのに、安心はなかった」という状態でした。
銀行口座には貯金がある。毎月の給料も入ってくる。でも、「これで十分なのか」が分からない。
この状態が、最も不安を生んでいたのです。
不安が減った”決定的な瞬間”
シミュレーションで見えた「最低限のライン」
転職を決意する数ヶ月前、私はある行動を始めました。
それは、長期的な資産シミュレーションです。
具体的には:
- 毎月10万円のNISA積立
- 企業型DC(確定拠出年金)に月3万円
- 年利4%で運用した場合の将来予測
このシミュレーションを実際に計算してみた時、私は驚きました。
「このペースで続ければ、老後に困らない水準の資産を築ける可能性がある」
もちろん、これは年利4%という仮定に基づいたものであり、実際には上下します。しかし、重要なのは金額ではありませんでした。
参考リンク:
- 金融庁「つみたてシミュレーター」
- 楽天証券「積立かんたんシミュレーション」
「最低限はもうクリアしている」と気づいた瞬間
シミュレーションを見た時、私の中で何かが変わりました。
「あ、これだけやっておけば最低限はいいじゃん」
この感覚が、私の不安を大きく減らしたのです。
不安が消えた理由は、「将来がどうなるか分からなくなった」からではなく、「最低限ここまでは到達できる」という下限が見えたからでした。
以前の私は、将来の資産が「ゼロになるかもしれない」という漠然とした恐怖を抱えていました。しかし、シミュレーションによって「最低でもこのラインは確保できる」という見通しが立ちました。この「下限」が見えたことで、初めて安心できたのです。
関連記事:複利を信じて続けた5年──20代投資家が感じた”時間が資産を育てる瞬間”
「年収が下がっても大丈夫」と思えたロジック
積立額が”自動化”されている
転職後、年収は下がりましたが、私は積立額を変えませんでした。
- NISA:月10万円
- 企業型DC:月3万円
この積立は、給料が入ったら自動的に引き落とされる仕組みになっています。
つまり、年収が下がっても、資産形成のペースは変わらないのです。
関連記事:SBI証券×三井住友カードで毎月10万円積立|ポイント還元と投資習慣を語る
老後資金の見通しが立っている
転職前に行ったシミュレーションによって、私は老後資金の見通しが立っていました。
「このまま続ければ、老後に困ることはない」という確信があったのです。
だから、年収が下がっても、焦りませんでした。
最低限の生活防衛ラインが見えている
さらに、私は生活防衛資金として、約6ヶ月分の生活費を現金で確保していました。
これにより、「何かあっても半年は大丈夫」という安心感がありました。
年収が下がっても、この生活防衛資金があるおかげで、心理的な余裕を保てたのです。
「将来を全部考えなくてよくなった」
これらの要素が揃ったことで、私は**「将来を全部考えなくてよくなった」**と感じました。
以前は、「将来はどうなるんだろう」という不安が常にありました。
しかし、シミュレーションと自動積立によって、「将来の資産形成は自動的に進む」という確信が持てました。
だから、年収が下がっても、不安にならなかったのです。
もちろん、誰もが同じ金額を積み立てられるわけではありません。大切なのは金額そのものではなく、「自分にとっての最低限」を知ることです。
関連記事:20代で月10万円積立を選んだ理由|正直きつい月もあった
不安が減ると、人生の視点が変わった
お金を「守る」から「使う・活かす」へ
不安が減ると、私のお金に対する視点が大きく変わりました。
以前は、お金を「守る」ことばかり考えていました。
- どうやって貯金を増やすか
- どうやって支出を減らすか
- どうやってリスクを避けるか
しかし、不安が減ってからは、お金を「使う・活かす」ことを考えるようになりました。
- どうやって自己投資するか
- どうやって家族に還元するか
- どうやって経験を増やすか
この視点の変化は、私の人生を大きく前向きにしました。
「どれだけ早く達成できるか」を考えるようになった
不安が減る前は、「将来、大丈夫だろうか」という不安ばかりでした。
しかし、不安が減ってからは、**「どれだけ早く目標を達成できるか」**を考えるようになりました。
- 副業収入を増やせば、もっと早く達成できるかも
- 支出を最適化すれば、積立額を増やせるかも
- スキルアップすれば、将来の収入が増えるかも
不安から解放されたことで、前向きな思考ができるようになったのです。
資産形成が「目的」ではなく「土台」になった
最も大きな変化は、資産形成が「目的」ではなく「土台」になったということです。
以前は、資産形成そのものが目的でした。「いくら貯めるか」「いくら増やすか」ばかり考えていました。
しかし、今は違います。資産形成は、人生を豊かにするための土台になりました。
土台がしっかりしているから、安心して挑戦できる。土台があるから、失敗を恐れずに行動できる。
この感覚が、私の人生を大きく変えました。
関連記事:積立投資だけが救いだった──焦りの投資から学んだ「ブレない運用」の大切さ
投資は「安心を買う行為」だったと気づいた
投資=増やすこと、ではなかった
投資を始める前、私は「投資=お金を増やすこと」だと思っていました。
しかし、実際に投資を続けてみて気づいたのは、投資は「安心を買う行為」だったということです。
投資によって得られる最大の価値は、利益ではなく、「将来への安心」でした。
投資=不安を減らす仕組みづくり
私にとって、投資は不安を減らす仕組みづくりでした。
- 自動積立によって、将来の資産形成を自動化する
- シミュレーションによって、将来の見通しを立てる
- 長期投資によって、短期的な変動に振り回されない
これらの仕組みが、私の不安を減らしてくれました。
関連記事:インデックス投資は今始めても遅くない|最高値圏でも積立を続ける理由
安心があると、挑戦できる
今振り返ると、この転職は「年収を下げる決断」ではなく、**「安心があるからできた決断」**だったと思います。
そして、安心があると、挑戦できるようになります。
転職もその一つでした。
年収が下がるという選択は、不安がある状態では絶対にできませんでした。しかし、「将来の資産形成は自動的に進む」という安心があったからこそ、私は転職を決断できたのです。
安心は、挑戦の土台になるのです。
まとめ:年収より大事だったもの

年収が高くても不安な人は多い
周りを見渡すと、年収が高くても不安な人は多いです。
年収が上がっても、「もっと上げないと」と焦る。貯金が増えても、「これで足りるのか」と不安になる。
年収の高さと、心の安心は、必ずしも比例しないのです。
年収が下がっても安心な人もいる
一方で、年収が下がっても安心な人もいます。
私がそうでした。
年収は下がったけれど、不安は減った。なぜなら、「将来が見えている」からです。
違いは「将来が見えているか」
年収が高くても不安な人と、年収が下がっても安心な人。
その違いは、**「将来が見えているか」**です。
- 将来の資産形成の見通しが立っているか
- 最低限のラインが分かっているか
- 自動的に進む仕組みが整っているか
これらが見えていれば、年収が多少下がっても、不安にはなりません。
逆に、これらが見えていなければ、どれだけ年収が高くても、不安は消えないのです。
年収が下がっても、不安が減った理由
年収が下がっても、不安が減った。
それは、お金の問題が「見える問題」に変わったからでした。
以前は、将来が見えない「漠然とした不安」がありました。
しかし、シミュレーションと自動積立によって、将来が「見える問題」になりました。
見える問題は、対処できる問題です。そして、対処できる問題は、もはや不安ではありません。
お金の見え方が変わると、人生が変わります。
年収の額ではなく、将来の見通し。これが、本当の安心をもたらすのです。
免責事項
本記事は個人の体験と見解に基づく内容です。投資には元本割れのリスクがあり、成果を保証するものではありません。シミュレーション結果は仮定に基づくものであり、実際の運用成果を保証するものではありません。最終的な判断はご自身の責任で行い、必要に応じて専門家にご相談ください。
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参考サイト
- 金融庁「NISA特設ウェブサイト」
- 投資信託協会「投資信託の基礎知識」
- 金融広報中央委員会「知るぽると」

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