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「為替ヘッジあり/なし」どっちを選ぶ?円安・円高局面でのリスクとリターン

外国株や外貨建て債券ファンドを購入する際、必ず直面するのが「為替ヘッジあり」か「為替ヘッジなし」かの選択です。

私自身も投資を始めた当初は、この違いがよく分かりませんでした。「ヘッジって何?」「どっちを選べばいいの?」と悩んだ記憶があります。実際に両方のファンドを保有してみて、円高・円安局面でどのように基準価額が変動するかを体験してから、ようやくその違いを実感できました。

この記事では、為替ヘッジの仕組みから、ヘッジありとヘッジなしのメリット・デメリット、そして円高・円安局面での選び方まで、初心者にも分かりやすく解説します。この記事を読むことで、自分の投資目的やリスク許容度に合った選択ができるようになるはずです。

なお、本記事は筆者個人の体験談と一般的な投資情報を基にしたものであり、特定の投資判断を推奨するものではありません。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。

目次

為替ヘッジの仕組みとは?

為替ヘッジの基本的な仕組み

外貨建て資産に投資する際、為替変動による損益を相殺するために行う取引が為替ヘッジです。

マネイロの説明によると、代表的な手法は将来の為替取引をあらかじめ予約する為替予約取引であり、その際に通貨間の短期金利差に応じたコスト(またはプレミアム)が発生するとされています。

たとえば、米国株のファンドに投資する場合、ヘッジなしだと円高になれば評価額が下がり、円安になれば評価額が上がります。一方、ヘッジありでは、この為替変動の影響を打ち消すように為替予約を行うため、基準価額の変動が小さくなります。

ヘッジコストが発生する理由

為替ヘッジありの投資信託では、このヘッジコストを負担するため、ヘッジなしよりもリターンが低下する可能性があります。

NEXT FUNDSの解説によると、米ドルと円の金利差が大きい時期にはヘッジコストがプラスとなり、リターン水準が低下するとされています。

年率で数パーセント程度のヘッジコストが発生するケースもあり、その水準は日米の金利差や市場環境によって変動します。このコストは、ファンドの運用成果から差し引かれるため、長期的にはリターンに影響を与える要因となります。

関連記事:ドル円150円台時代の投資戦略|為替リスクと賢いアセット配置

為替ヘッジは保険のようなもの

為替ヘッジを簡単に例えるなら、「為替変動に対する保険」のようなものです。保険料(ヘッジコスト)を払うことで、為替リスクを抑えることができますが、その分リターンは減少します。

私自身は、資産の一部に為替ヘッジありのファンドを保有していますが、あくまで為替リスクを抑えたい部分に限定しています。全額をヘッジありにすると、円安局面での為替益を逃してしまうためです。

ヘッジありのメリットとデメリット

メリット①|為替リスクを抑えられる

為替ヘッジありの最大のメリットは、円建てでの基準価額の変動が小さくなり、為替リスクを抑えられるため資産価値が安定することです。

NEXT FUNDSの説明では、ヘッジありのファンドは円建てでの基準価額の変動が小さくなり、為替リスクを抑えられるため資産価値が安定するとされています。

たとえば、米国債券ファンドに投資している場合、ヘッジありであれば円高になっても大きな損失を受けにくくなります。安定的な運用を求める投資家にとっては、この安心感が大きなメリットとなります。

メリット②|債券投資では一定のリターンが期待できる

長期債への投資では、ヘッジコストを加えても米国の長期金利が日本の短期金利より高いため、ヘッジありでも日本円の預金より高いリターンが期待されるとNEXT FUNDSは説明しています。

これは、米国の長期金利が日本の金利よりも高い状況が続いているためです。たとえば、米国10年債の利回りが一定の水準にあり、ヘッジコストを差し引いても、日本円での運用よりプラスのリターンが期待できる場合があります。

ただし、これは市場環境によって変動するため、常に同じ状況が続くわけではありません。

デメリット①|ヘッジコストがリターンを押し下げる

ヘッジありの最大のデメリットは、ヘッジコストがリターンを押し下げることです。

特に、米ドルと円の金利差が大きい時期にはヘッジコストが高くなり、リターン水準が低下します。金利差が大きい局面では、このコストが運用成果に影響を与える可能性があります。

私自身も、ヘッジありのファンドを保有していた時期に、ヘッジコストがリターンを大きく圧迫していることを実感しました。安定性は得られますが、その分のコストは確実に発生します。

デメリット②|円安局面での為替益を逃す

ヘッジありを選択すると、円安局面での為替益を得られません。

たとえば、2022年から2024年にかけて円安が進行し、ドル円レートが130円から150円台まで上昇しました。この局面でヘッジなしのファンドを保有していれば、大きな為替益を得られましたが、ヘッジありではこの恩恵を受けられませんでした。

中長期的に円安が進行する可能性を想定する場合、ヘッジありは機会損失につながる可能性があります。

関連記事:20代・30代のための資産配分戦略──株式・債券・オルタナティブの役割とリバランスの重要性

ヘッジなしのメリットとデメリット

メリット①|ヘッジコストが不要

ヘッジなしの最大のメリットは、ヘッジコストが不要でリターンが高くなる可能性があることです。

NEXT FUNDSの説明では、ヘッジコストが不要でリターンが高くなる可能性があるとされています。特に、円安が進行する局面では、為替益が加わることで大きなリターンを得られる可能性があります。

私が保有しているS&P500のインデックスファンド(ヘッジなし)も、円安局面で基準価額が大きく上昇しました。株価の上昇に加えて為替益が上乗せされたためです。

関連記事:S&P500とオルカンどっちがいい?20代投資家が実践する”正解のない選び方”

メリット②|円安局面で大きな為替益が得られる

円安になると大きな為替益が得られるため、積極的にリターンを狙う投資家には適しています。

たとえば、ドル円レートが100円から150円に上昇した場合、ヘッジなしのファンドは為替だけで約50パーセントの上昇効果が得られます。円安が進行するシナリオを想定する投資家にとっては、大きなメリットとなります。

デメリット①|円高局面で為替差損が発生する

一方、ヘッジなしの最大のデメリットは、円高局面では為替差損が発生するためリスクが高まることです。

NEXT FUNDSによると、円高局面では為替差損が発生するためリスクが高まるとされています。たとえば、ドル円レートが150円から130円に下落した場合、株価が変わらなくても基準価額は約13パーセント下落します。

私自身も、円高局面でヘッジなしのファンドの評価額が大きく下がった経験があります。株式市場が好調でも、為替の影響で含み損になることがあるため、心理的な負担は大きくなります。

デメリット②|基準価額の変動が大きくなる

マネイロの説明では、投資信託の場合、為替ヘッジなしは基準価額の変動が大きくなることを理解したうえで選択するとされています。

株価の変動に加えて為替の変動も加わるため、ヘッジありよりも値動きが激しくなります。短期的な値動きに動揺しやすい投資家にとっては、精神的な負担が大きくなる可能性があります。

関連記事:暴落はギフト──積立投資が市場下落で勝てる科学的理由

円高・円安局面での選び方

円高が進行しそうな局面ではヘッジあり

円高が進行する可能性がある局面では、ヘッジありを選択してリスクを抑えることが考えられます。

たとえば、日本の金利が上昇し始めたり、米国の金利が低下したりする局面では、円高に振れる可能性があります。このような状況では、ヘッジありのファンドを選ぶことで、為替リスクを軽減できます。

ただし、為替の方向性を正確に予測することは非常に難しいため、あくまで参考程度に考えるべきです。

中長期的に円安が進む可能性を想定する場合はヘッジなし

円安が進行するシナリオを想定する投資家にとっては、ヘッジなしを選択して為替益を取りにいく戦略が考えられます。

日米の金利差が今後も継続する可能性がある場合や、日本の財政状況を踏まえて中長期的に円安トレンドが続く可能性を想定する場合には、ヘッジなしのファンドが適している可能性があります。

私自身は、中長期的には緩やかな円安が進む可能性を想定しているため、資産の大部分をヘッジなしのファンドで運用しています。ただし、これはあくまで個人的な見解であり、将来を保証するものではありません。

リスク許容度や投資期間で判断する

個人のリスク許容度や投資期間によって選択が異なるため、目標額や運用期間に合わせた判断が必要です。

たとえば、5年以内に使う予定の資金であれば、為替リスクを抑えたヘッジありが適しているかもしれません。一方、20年以上の長期運用を前提とする場合は、ヘッジコストが積み重なることを考えると、ヘッジなしが有利になる可能性があります。

また、リスク許容度が低く、基準価額の変動に耐えられない場合は、ヘッジありを選択することで精神的な安定を得られます。

関連記事:月3万円vs月10万円、20年後の差はいくら?──積立額別シミュレーションと無理のない増額戦略

初心者へのアドバイス

為替リスクが怖い場合はヘッジあり商品を選ぶ

為替リスクが怖いと感じる場合は、ヘッジあり商品を選ぶことをおすすめします。

投資初心者にとって、為替変動は理解しにくく、予測も難しい要素です。株価の変動だけでも不安なのに、さらに為替の変動が加わると、精神的な負担が大きくなります。

ヘッジありを選択することで、少なくとも為替リスクは軽減できるため、投資を続けやすくなる可能性があります。

ヘッジコストとリスクのバランスを考える

ヘッジコストが長期的にリターンを押し下げる可能性を理解し、コストとリスクのバランスを考えることが重要です。

ヘッジコストは見えにくいコストですが、確実に運用成果を圧迫します。特に、長期投資では複利効果が減少するため、最終的な資産額に大きな差が生まれる可能性があります。

私自身は、コストとリスクのバランスを考えた結果、資産の8割程度をヘッジなしで運用し、残り2割をヘッジありで運用するという配分にしています。これはあくまで私個人のリスク許容度に基づく一例であり、同じ配分がすべての人に適しているわけではありません。

資産全体のポートフォリオで検討する

資産全体のポートフォリオに外貨建て資産をどの程度組み込むか、総合的な資産配分の中で検討することが推奨されます。

たとえば、すでに資産の大部分が円建て資産(日本株、日本債券、預金など)である場合、外貨建て資産を一部組み込むことで分散効果が得られます。この場合、ヘッジなしを選択することで、円安リスクに対するヘッジにもなります。

一方、外貨建て資産の比率が高い場合は、一部をヘッジありにすることで、為替リスクを調整することも考えられます。

金融庁の資料でも、長期・積立・分散投資の重要性が強調されており、資産配分の観点から為替リスクを考えることが推奨されています。

関連記事:20代から始める資産運用|FIREを目指す私の投資方針と実体験

まとめ

為替ヘッジの選択は投資目的次第

為替ヘッジありとヘッジなし、どちらが優れているという単純な答えはありません。投資の目的、リスク許容度、投資期間によって最適な選択は異なります。

ヘッジありは為替リスクを抑えられる一方で、ヘッジコストがリターンを押し下げます。ヘッジなしはコストがかからず円安局面で大きなリターンが期待できる一方で、円高局面では為替差損が発生します。

長期投資ではヘッジなしが有利になる可能性

長期的な資産形成を目的とする場合、ヘッジコストが積み重なることを考えると、ヘッジなしが有利になる可能性があります。

ただし、これは円安が進むことを前提としており、将来の為替動向を正確に予測することはできません。そのため、一部をヘッジあり、一部をヘッジなしという形で分散することも有効な戦略です。

自分に合った選択を

私自身は、長期的な資産形成を目的としているため、大部分をヘッジなしで運用しています。ただし、これはあくまで個人的な選択であり、すべての人に適しているわけではありません。

為替リスクに不安を感じる方はヘッジあり、積極的にリターンを狙いたい方はヘッジなし、というように、自分の投資スタイルに合わせて選択することが大切です。

投資は、自分の目的と価値観に合わせて柔軟に調整できるものです。為替ヘッジの選択も、その一部として考えていきましょう。

免責事項

本記事は個人の体験に基づく内容です。投資には元本割れのリスクがあり、成果を保証するものではありません。シミュレーションは特定の前提条件に基づく試算であり、実際の運用成果とは異なる可能性があります。最終的な判断はご自身の責任で行い、必要に応じて専門家にご相談ください。

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参考サイト

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この記事を書いた人

だっちのアバター だっち 会社員投資家

20代後半の会社員投資家です。
「経済的自由=FIRE」を目指し、インデックス投資・個別株・FXを実践中。
初心者にもわかりやすく資産運用の情報を発信しています。
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