残業80時間で月13万7,500円。
25歳で転職する前、僕はこの「時給1,719円」の残業代を稼ぐために、毎日深夜まで働いていました。
でも今、定時退社で得た自由時間は、金銭的にも残業代以上の価値を生み出すことがあります。しかもこれは、「時間を売る」のではなく「時間を投資する」ことで得られた結果です。
今回は、残業削減で見えてきた「時間の複利効果」について、お話しします。
残業80時間の生活:時給1,719円という”罠”
まず、転職前の状況からお話しします。
残業代の内訳
上場企業の営業職として働いていた僕の残業実態:
毎月の残業時間:最低45時間、多い月は80時間超 残業代:月約13万7,500円(80時間の場合) 時給換算:約1,719円
一見、悪くない数字に見えます。月13万円以上の残業代は、20代にとって大きな収入です。
でも、ここに罠がありました。
失われていた「時間」の価値
残業80時間ということは:
平日20日間として、1日あたり4時間の残業 朝8時出社→夜22時退社 帰宅は23時過ぎ、就寝は深夜1時 睡眠時間:平均5〜6時間(飲み会後の出張などでは4時間の週も)
自由時間はゼロ。副業もスキルアップも、何もできない毎日でした。
厚生労働省が公表している事例集でも、残業が多い企業では生産性の低下や従業員の健康状況の悪化が指摘されています。
参考:厚生労働省「時間外労働削減の好事例集」
時給1,719円の機会費用
経済学には「機会費用」という概念があります。ある選択をすることで、失われる別の選択肢の価値のことです。
僕の場合:
残業1時間=1,719円を得る 同時に、自由時間1時間を失う
でも、その1時間で何ができたでしょうか?
副業のスキルを身につける 投資の勉強をする 十分な睡眠を取る 運動や自己投資の時間
これらの価値は、時給1,719円以上だったかもしれません。
定時退社で得た240時間:使い方で人生が変わる
25歳で転職し、残業がほぼゼロの会社に移りました。
増えた自由時間の計算
転職前:残業月80時間 転職後:残業月0時間 増えた時間:月80時間、年間960時間
1日あたり約3〜4時間の自由時間が生まれました。
この時間を、僕はどう使ったか。
時間の使い方1:副業でスキルと収入を得る
転職後、すぐに副業を始めました。内容はビジネスコンサルティングやマーケティング支援です。
副業の特徴:
時間を売るのではなく、価値を提供する 0円の月もあれば、数万円〜15万円を超える月もある 残業代(月13万7,500円)を上回ることもある 報酬は不安定だが、スキルは確実に積み上がる
重要なのは、単なる収入ではなく、「将来の資産」を作っているということです。
残業は時給1,719円で上限が決まっています。でも、副業は上限がありません。スキルが上がれば、収入も上がります。
そして何より、身につけたスキルは一生の資産になります。転職市場での価値も上がり、将来的な独立や起業の可能性も広がります。これが「時間の複利効果」の始まりです。
時間の使い方2:投資の勉強に毎日1時間
平日の夜、毎日1時間を投資の勉強に充てています。
具体的には:
経済ニュースのチェック トレンド分析 個別銘柄の研究 FXなど新しい投資手法への挑戦
この1時間の価値は、いくらでしょうか?
仮に、この勉強で投資判断が改善され、年間利回りが1%向上したとします。投資額が500万円なら、年間5万円の差。20年で100万円以上の差になります。
つまり、投資の勉強1時間は、将来の数万円〜数十万円に繋がる可能性があるのです。
月3万円vs月10万円、20年後の差はいくら?──積立額別シミュレーションと無理のない増額戦略の記事でも触れていますが、長期投資では小さな差が大きな結果の違いを生みます。
時間の使い方3:睡眠7時間の確保
これが最も大きな変化かもしれません。
転職前:平均5〜6時間、飲み会後の出張などでは4時間の週も 転職後:毎日7時間確保
睡眠不足は、生産性を著しく低下させます。集中力が落ち、判断力も鈍る。結果として、さらに労働時間が長くなる悪循環に陥ります。
アイピアの調査でも、残業により帰宅時間が遅くなると休息や睡眠時間が少なくなり、体調不良や睡眠不足に繋がって生産性が下がることが指摘されています。
参考:アイピア「残業が生産性に与える影響とは?」
十分な睡眠を取ることで:
日中の集中力が上がる 副業の生産性も上がる 投資判断の質も向上する 健康を維持できる
睡眠時間の確保は、すべての活動の「土台」になっています。
時間の使い方4:運動・読書・趣味
その他の時間の使い方:
週3〜4回の運動(健康維持) 読書(月5冊程度) 新しいスキルの習得 趣味の時間
これらは直接お金を生みませんが、人生の質を大きく向上させます。そして、長期的には仕事のパフォーマンス向上にも繋がります。
時間の複利効果とは何か
ここで、「時間の複利効果」について説明します。
お金の複利vs時間の複利
お金の複利効果は有名です。100万円を年利5%で運用すれば、20年後には約265万円になります。
参考:複利を信じて続けた5年──20代投資家が感じた”時間が資産を育てる瞬間”
時間にも同じような効果があります。
スキルの複利効果
副業で身につけたスキルは、雪だるま式に増えていきます。
1年目:基礎スキル習得、収入は不安定(0円〜数万円) 2年目:応用力がつき、安定して収益化 3年目:専門性が高まり、残業代を超える月も増える
単純に時間が増えただけではありません。スキルが積み上がり、時間あたりの価値が上がっているのです。
そして、このスキルは転職市場でも評価され、将来的な独立・起業の選択肢も生まれます。残業代は一時的な収入ですが、スキルは一生の資産です。
知識の複利効果
投資の勉強も同じです。
1年目:基礎知識を学ぶ 2年目:経済の動きが理解できるようになる 3年目:独自の投資判断ができるようになる
知識は積み重なり、判断の質が上がります。これが投資リターンの向上に繋がります。
健康の複利効果
睡眠7時間を確保することで:
日中の生産性が上がる 副業の効率も上がる 投資判断の質も向上 さらに健康を維持できる
健康は、すべての活動の基盤です。若いうちに健康を維持することが、長期的な人生の質を決めます。
残業代13万円vs自由時間の価値:どちらが高いか
ここで、改めて比較してみましょう。
残業80時間の価値
得られるもの:
- 残業代:月13万7,500円
- 確実な収入
失うもの:
- 自由時間:月80時間
- 睡眠時間
- 健康
- スキルアップの機会
- 副業の可能性
- 人生の質
定時退社の価値
得られるもの:
- 自由時間:月80時間
- 副業収入:0円〜15万円超(不安定だが残業代を超えることも)
- スキルの蓄積(転職市場での価値向上、独立・起業の可能性)
- 投資知識の向上(将来のリターン増加)
- 睡眠7時間(生産性・健康の向上)
- 運動・読書・趣味の時間
- 人生の質の向上
- 将来への投資(スキルも知識も資産になる)
失うもの:
- 残業代:月13万7,500円
短期的には、残業代13万円は大きな収入です。でも、長期的に見れば、自由時間80時間の方がはるかに価値があります。
なぜなら、時間には「複利効果」があるからです。
残業削減の3つのメリット:データが示す真実
ここで、残業削減のメリットを客観的なデータで確認しましょう。
メリット1:生産性の向上
ビーイングコンサルティングの解説では、労働生産性を高めるためには分母の労働時間を削ると同時に、分子の付加価値の質を高める必要があると指摘されています。
参考:ビーイングコンサルティング「残業時間を減らして生産性を高めるには?」
つまり、長時間労働は必ずしも高い成果に繋がりません。むしろ、時間を制限することで集中力が上がり、生産性が向上します。
メリット2:健康の改善
残業が多いと:
睡眠時間の減少 集中力の低下 産業事故のリスク増加 メンタルヘルスの悪化
僕自身、転職前は常に疲労感がありました。今は体調が良く、日中のパフォーマンスも格段に上がっています。
メリット3:キャリアの選択肢が広がる
定時退社で時間ができると:
副業でスキルアップ 新しい分野への挑戦 転職の準備 起業の可能性
残業漬けの生活では、現状維持が精一杯。でも、時間があれば、未来を変える行動ができます。
20代が時間の価値を最大化する5つの方法
では、具体的にどうすれば時間の価値を最大化できるのでしょうか。
方法1:残業を減らす(または残業の少ない会社に転職)
まず、時間を作ることが最優先です。
年収450万→400万の転職で可処分所得が増えた話──働き方改革が資産形成を可能にした実体験の記事でも書きましたが、年収が下がっても、時間が増えれば長期的には豊かになれます。
方法2:自由時間を「投資」する
自由時間ができたら、何に使うか。
おすすめの使い方:
副業でスキル習得(収入とスキルの両方を得る) 投資の勉強(将来のリターン向上) 読書・資格取得(キャリアアップ) 運動・睡眠(健康という資本の維持)
ただし、無理は禁物です。趣味や休息の時間も大切にしてください。
方法3:時給ではなく「価値」で考える
残業は時給で収入が決まります。でも、副業やスキルアップは違います。
時給思考:1時間=1,719円 価値思考:1時間=将来の数万円〜数十万円
長期的な視点で、時間の使い方を考えましょう。
方法4:睡眠を最優先する
どんなに時間があっても、睡眠不足では意味がありません。
睡眠7時間を確保してから、他の活動を計画しましょう。健康は、すべての活動の土台です。
方法5:記録をつける
時間の使い方を記録すると、無駄が見えてきます。
おすすめの方法:
週ごとに時間の使い方を振り返る 「投資になる時間」と「消費になる時間」を区別する 少しずつ改善していく
完璧を目指す必要はありません。少しずつ改善していくことが大切です。
やってはいけない3つのNG行動
時間が増えたからといって、すべてが上手くいくわけではありません。
NG行動1:自由時間をダラダラ過ごす
定時退社しても、何もせずにダラダラ過ごしていては意味がありません。
もちろん、休息も大切です。でも、毎日ダラダラ過ごすのは機会損失です。
最初は小さくていいので、「この時間で何をするか」を決めましょう。
NG行動2:無理しすぎる
逆に、自由時間を全て副業や勉強に充てるのも危険です。
燃え尽きてしまったら元も子もありません。週に1〜2日は完全に休む日を作りましょう。
NG行動3:残業代に執着する
「残業代がなくなると生活できない」という不安は分かります。
でも、その不安が、時間という資産を手放す理由になってはいけません。
残業代は短期的な収入です。でも、時間は長期的な資産です。どちらが人生を豊かにするか、考えてみてください。
まとめ:時間は最大の資産である
残業80時間で月13万7,500円。定時退社で得た月80時間。
あなたなら、どちらを選びますか?
僕の答えは明確です。時間を選びます。
なぜなら、時間には複利効果があるからです。
重要なポイント:
- 残業代は時給で上限が決まるが、自由時間は無限の可能性がある
- スキル、知識、健康はすべて「複利」で増えていく
- 20代の時間は、30代、40代の人生を決める
- 時給ではなく「価値」で時間を考える
- 睡眠7時間は、すべての活動の土台
転職から1年以上経った今、僕の人生は大きく変わりました。
副業で0円〜15万円超の収入(残業代を超える月も) 身につけたスキルは一生の資産 投資知識が大幅に向上 毎日7時間の睡眠 運動や趣味の時間 精神的な余裕 将来への選択肢(独立・起業も視野に)
そして何より、「自分の時間を生きている」という実感があります。
もしあなたが今、残業漬けの毎日で「このままでいいのか?」と悩んでいるなら。
時給1,719円の残業代より、自由時間80時間の方が価値があるかもしれません。
時間は、最大の資産です。そして、20代の時間は、複利効果で人生を変える力があります。
免責事項
本記事は筆者の個人的な体験に基づく情報提供を目的としており、特定の働き方や投資商品の推奨、転職や投資の勧誘を目的とするものではありません。
働き方について:
- 残業削減や転職の判断は、個々の状況(収入、家族構成、年齢、キャリアプラン、価値観等)により最適な選択が大きく異なります
- 本記事の筆者の経験は一例であり、同じ結果が得られることを保証するものではありません
- 残業代は生活を支える重要な収入源です。安易に削減を選択せず、慎重に判断してください
- 転職や働き方の変更を検討される際は、必ずキャリアコンサルタントなど専門家にご相談ください
副業について:
- 副業収入は不安定であり、0円の月もあれば15万円を超える月もあります
- 本記事で紹介した副業収入は筆者の個別事例であり、すべての人が同様の収入を得られるわけではありません
- 副業を始める際は、会社の就業規則を確認し、法令を遵守してください
- 副業による収入が安定するまでには時間がかかる場合があります
- スキル習得には個人差があり、必ずしも収入増加に繋がるとは限りません副業収入は不安定であり、本記事で紹介した月5万〜30万円という数字は筆者の個別事例です
- 副業を始める際は、会社の就業規則を確認し、法令を遵守してください
- 副業による収入が安定するまでには時間がかかる場合があります
投資について:
- 投資にはリスクが伴い、元本割れの可能性があります
- 投資の勉強をしたからといって、必ずしも投資成果が向上するわけではありません
- 投資判断は必ずご自身の責任において行い、必要に応じてファイナンシャルプランナー(FP)など金融の専門家にご相談ください
その他:
- 本記事で紹介した残業時間、残業代、副業収入、睡眠時間は筆者の個別事例です
- 時間の使い方や価値観は人それぞれ異なります
- 本記事の執筆者は転職エージェント、キャリアコンサルタント、ファイナンシャルプランナー、金融商品取引業者ではありません
読者の皆様におかれましては、本記事の内容を参考情報の一つとして、ご自身の状況に合わせて専門家に相談のうえ、慎重に判断されることを強くおすすめします。執筆者および本サイトは、本記事の内容に基づいて読者が行った判断や行動の結果について一切の責任を負いません。
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参考サイト
- 厚生労働省:「時間外労働削減の好事例集」
- ビーイングコンサルティング:「残業時間を減らして生産性を高めるには?7つの対策方法を解説」
- アイピア:「残業が生産性に与える影響とは?労働生産性を上げるためにすべきこと」
- イコール・パートナーズ:「働き方改革で労働生産性向上」

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