はじめに
株式や投資信託を始めると必ず出てくる用語が「約定日」と「受渡日」です。
しかし、初心者にとっては「いつお金が動くの?」「利益や損失はどの日で計算するの?」と分かりづらく、最初に混乱するポイントの一つです。
特に NISAやiDeCoといった制度口座 で取引する場合、約定日と受渡日の違いを理解していないと「年末の取引で非課税枠を使えなかった」「口座にお金が入るのが遅い」といった誤解を生みます。
この記事では、
- 約定日と受渡日の基本的な意味
- 株式と投資信託での流れ
- NISA・特定口座での扱い方
- 初心者が間違いやすい落とし穴
をわかりやすく解説していきます。
約定日とは?
「約定日」とは、売買が成立した日 を指します。
- 株式:証券取引所で売買が成立した日
- 投資信託:注文がその日の基準価額で成立した日
👉 言い換えると、「いくらで買ったか」「いくらで売れたか」が確定するのが約定日です。
投資信託を初めて買うとき、注文を入れたタイミングと実際に約定する日が違うことに驚く方が多いです。投資信託の仕組み自体を理解しておくと、この点もスッキリします。
➡ 【初心者向け】投資信託の仕組み・メリット・デメリットをわかりやすく解説
受渡日とは?
「受渡日」とは、実際にお金や証券のやりとりが完了する日 を指します。
- 株式:売却代金が口座に入る日/購入代金が引き落とされる日
- 投資信託:購入した口数が口座に反映される日/売却代金が着金する日
👉 簡単に言うと「資金や資産が実際に動く日」が受渡日です。
「売ったのにお金が入ってこない!」という声は、約定日と受渡日を混同している典型例です。投資の実務を理解するうえで、この違いはとても大事です。
具体例:注文から受渡しまでの流れ
ここで実際の流れをシミュレーションしてみます。
株式の場合(T+2ルール)
- 1月10日(火)に株を売却 → この日が約定日
- 1月12日(木)に代金が口座に入金 → この日が受渡日
👉 株式の場合は「約定日+2営業日(T+2)」が受渡日となります。
投資信託の場合
- 1月10日(月)15時までに購入注文
- 1月10日の基準価額で約定(約定日)
- 1月13日(木)に購入口数が反映(受渡日)
👉 投資信託はファンドによって受渡日が異なり、3〜5営業日かかる場合もあります。
ETFやREITでも基本的な考え方は同じです。詳しい違いを整理すると理解が深まります。
➡ 【徹底解説】ETFと投資信託の違いを初心者向けにわかりやすく解説
NISA・特定口座でどう違うのか?
「約定日と受渡日、どちらが税制に関わるのか?」というのは重要な論点です。
NISAの場合
- 非課税枠の消化は「約定日ベース」 です。
👉 12月28日に約定したら、その年のNISA枠を使ったことになります。たとえ受渡日が翌年1月でも、翌年の枠にはなりません。
特定口座の場合
- 損益の計算も「約定日ベース」で行われます。
👉 売却益・損失、損益通算もすべて約定日が基準。
つまり「税金やNISAの判定は約定日」で、「実際にお金が入るのは受渡日」という二重構造になっているわけです。
制度投資の仕組みを理解しておくとさらに安心です。
➡ NISAとiDeCoの違いを徹底比較|どっちを選ぶべき?初心者向け解説
初心者が混乱しやすいポイントまとめ
- 売却してもすぐにお金は入らない
→ 実際に口座に反映されるのは受渡日 - NISAの非課税枠は約定日で消化
→ 年末ギリギリの取引には要注意 - 損益計算も約定日ベース
→ 確定申告や特定口座の年間取引報告書も「約定日」で処理される - 投資信託は反映まで時間がかかる
→ ファンドによっては5営業日後になるケースもある
初心者はこのタイムラグを理解していないと「注文したのに反映されない」と不安になります。
投資の基礎知識を整理してから運用を始めると安心です。
➡ 【保存版】資産形成初心者が知っておくべき基本知識と投資のポイント
まとめ
- 約定日=取引が成立した日
- 受渡日=お金や資産が実際に動く日
- 株式は「T+2」、投資信託はファンドごとに異なる
- NISA・特定口座では「約定日」が基準になる
👉 投資初心者にとってはやや複雑に感じる部分ですが、理解しておくことで「資金計画」「NISA枠管理」「税金対応」がスムーズになります。
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