「投資をするならニュースを見ろ」──そんなアドバイスを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
しかし、実際に経済ニュースを毎日追うのは簡単ではありません。専門用語が多く、投資経験が浅い人ほど「難しそう」と感じてしまいます。
私は2024年からの1年間、テレビ東京系列の経済ニュース番組WBS(ワールドビジネスサテライト)をほぼ欠かさず見続けました。録画して翌朝に視聴するスタイルで習慣化し、生活リズムの一部に組み込みました。
結果として、投資家としての考え方や経済に対する感覚が大きく変化しました。この記事ではその体験をもとに、WBSを見続けて得られた学び、投資や生活への影響、続けるための工夫、そして投資初心者が注意すべき落とし穴をまとめてご紹介します。
なお、本記事は筆者個人の体験談であり、特定の番組や投資判断を推奨するものではありません。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。
WBSを見始めたきっかけ
経済ニュースが自分ごとにならなかった
投資を始めたばかりの頃、私はNISAを使って投資信託を積立していました。しかし「金利」「為替」「原油高」といったニュースが出ても、自分のお金にどう関係するのかピンと来ず、ただ聞き流すだけでした。
そんなとき投資仲間から「WBSを見続けると経済感覚が自然に身につく」と勧められ、試しに視聴を始めました。最初は用語に戸惑いましたが、毎日繰り返し触れるうちに少しずつ理解できるようになり、自分の投資と結びつけて考えられるようになりました。
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視聴スタイル──録画と翌朝視聴
1年間続けられたのは、「録画して翌朝に視聴する」という習慣を作ったからです。
夜は遅いのでリアルタイムは避けました。朝早起きすることで頭が冴えた状態で視聴でき、出勤前に「経済情報で一日をスタート」する流れができました。
夜型ではなく朝活に組み込むことで、苦労せず1年間継続できました。この習慣化のコツは、他の投資学習にも応用できると感じています。
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印象に残ったニュース──企業不正の報道
AIベンチャーの上場廃止事例
特に記憶に残っているのが、あるAIベンチャー企業の事例です。
上場時にWBSでも特集されており、私もIPO抽選に応募しました。補欠当選となり、結局購入には至りませんでした。ところがその後、その企業は不正会計の発覚から上場廃止へと追い込まれたのです。
テレビ東京BIZなどでも売上高の過大計上や循環取引スキームの疑いが報じられ、最終的には上場廃止が正式決定されました。
結果的に私はIPOに当選できず損失を免れましたが、この出来事は「ニュースに踊らされず、企業の本質を見抜く大切さ」を強烈に学んだ経験でした。
ニュースと投資判断の距離感
この経験から学んだのは、メディアで取り上げられることと投資価値は別物だということです。
話題性があっても、企業の財務体質や事業の持続可能性が伴っていなければ、長期的な投資には適さない可能性があります。WBSのような経済ニュース番組は情報源として優れていますが、最終的な投資判断は自分で行う必要があると痛感しました。
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見続けて得られた3つの変化
経済ニュースが自分ごとになった
日経平均株価やFRBの利上げといった言葉が、以前は他人事でした。WBSを通して繰り返し触れることで、株価や金利が「自分の投資に直結するもの」と実感できるようになりました。
たとえば、FRBの金利政策が報じられたとき、以前は「アメリカの話」としか思っていませんでしたが、今では「自分が保有するS&P500のファンドにどう影響するか」と考えられるようになりました。
世間より少し先にトレンドを知れる
WBSで特集されるテーマは、数週間後に世間一般で大きく話題になることが多いと感じました。
「自分は先に知っていた」という感覚が得られるのは、投資判断にも安心材料になります。ただし、これは「先に知っているから有利」というよりも、「トレンドの背景を理解できている」という意味で価値があると考えています。
投資スタンスが固まった
WBSを見続けるうちに、個別株は日々のニュースに振り回されるリスクが大きいと痛感しました。
その結果、「投資信託を軸にした長期投資で進める」という自分のスタイルを固めることができました。個別株に投資する場合でも、短期的なニュースではなく、企業の長期的な成長性を見るべきだという考え方が定着しました。
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続ける工夫と大変さ
習慣化のコツ
朝早起きして録画視聴することで、頭が冴えた状態で集中できました。また、実際に投資していたから「自分ごと」として学べたことも大きかったと思います。
もし投資していなかったら、ニュースは「ただの情報」として他人事に感じて続かなかったと思います。少額でも自分のお金が動いていると、ニュースの見え方が全く変わります。
投資しながら見ることの重要性
私はWBSを投資初心者に強くおすすめしますが、条件は一つあります。それは、少額でもいいので自分も投資をしながら見ることです。
投資していないと、ニュースは「ただの情報」で終わってしまいます。少額の投資信託でも持っていれば、ニュースが「自分のお金に関わること」として理解でき、学びが何倍にも深まります。
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WBSを通じて学んだ投資の3つの落とし穴
流行り株の罠
SNSやニュースで話題になるテーマ株やIPOに飛びつくリスクは常に存在します。
先ほど触れたAIベンチャーのケースが象徴的です。WBSで紹介され将来性が期待されていたものの、その後に不正会計が発覚し上場廃止になりました。私自身もIPOに応募して補欠当選しましたが、購入せずに済んだことで損失を免れました。
この経験から痛感したのは、話題性と投資価値は別物だということです。IPOやテーマ株は「期待」で評価されがちですが、個人投資家こそ「長期・分散・低コスト」の原則を守るべきだと考えています。
稲妻が輝く瞬間を逃す罠
株式市場のリターンは、実は「ほんの数日間の大きな上昇」によって大きく決まると言われています。これをウォール街では「稲妻が輝く瞬間」と呼ぶことがあります。
WBSを毎日見ていると、相場の上下に自然と敏感になり「少し下がったから一度売ろうかな」と短期的な判断をしたくなる場面もありました。ですが、その直後に相場が反発し、上昇の波に乗れないケースが現実には多いのです。
つまり、ニュースに過剰反応して頻繁にスイッチングや売買を繰り返すと、この稲妻の瞬間を逃してしまい、結果的にリターンを大きく損なうリスクがあります。
対策はシンプルです。ニュースは活用しつつも、長期目線を崩さないこと。一時的な値動きに翻弄されず、積み立てを継続する姿勢が大切だと学びました。
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錯覚で高コスト商品を買わされる罠
WBSではAIや脱炭素など将来性のあるテーマがよく取り上げられます。興味深い内容なのですが、それがきっかけで「テーマ型投資信託」や「毎月分配型ファンド」に惹かれてしまう投資家も少なくないと考えられます。
テーマ型投資信託は「流行のキーワード=利益」と錯覚しやすいですが、実際には競争に敗れる企業も多く、信託報酬も高めです。
毎月分配型投資信託は「毎月お金が入る安心感」が売りですが、その多くは元本を取り崩す仕組みで、資産が減ってしまうケースもあります。
私自身もWBSを見ながら「この分野は面白そう」と感じることはありました。ただ、実際に投資する際には「信託報酬は0.1パーセント台か?」「長期・分散に合っているか?」と冷静に考えるようにしています。
魅力的に見える商品ほど、錯覚で買わされやすい面があります。だからこそ「長期・分散・低コスト」という基準を常に意識しておくことが、落とし穴を避ける方法だと考えています。
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まとめ
経済ニュースを自分ごととして理解できるようになった
WBSを1年間見続けたことで、経済ニュースを「自分ごと」として理解できるようになりました。
日経平均やFRBの金利政策といった言葉が、単なる情報ではなく、自分の投資に直結するものとして実感できるようになったのは大きな変化です。
習慣化のコツは録画と翌朝視聴
習慣化のコツは「録画+翌朝視聴」でした。夜ではなく朝に視聴することで、頭が冴えた状態で集中でき、1年間継続できました。
また、投資初心者は「少額でも投資しながら見る」ことが大切だと感じています。自分のお金が動いていると、ニュースの見え方が全く変わります。
ニュースに踊らされない投資判断を
ニュースを追う中で出会う「流行り株」や「高手数料商品」には注意が必要です。話題性と投資価値は別物であり、最終的な判断は自分で行う必要があります。
結論として、WBSは投資初心者にとって「金融リテラシーを磨く教材」の一つだと考えています。経済を自分ごととして捉える力を養うために、まずは少額投資とあわせて視聴を始めてみることをおすすめします。
ただし、ニュースはあくまで情報源であり、投資判断は自己責任で行うことが大前提です。長期・分散・低コストという基本原則を忘れず、冷静な判断を心がけていきましょう。
免責事項
投資について
本記事で紹介している投資手法や考え方は、筆者個人の経験に基づくものであり、特定の投資商品や投資手法を推奨するものではありません。投資にはリスクが伴い、元本割れの可能性があります。投資判断は必ずご自身の責任で行い、必要に応じてファイナンシャルプランナーや証券会社などの専門家にご相談ください。
体験談について
本記事に記載されている投資成果や経験は、筆者個人のものであり、すべての方に同様の結果を保証するものではありません。経済ニュース番組の視聴が投資成果に直接つながる保証はありません。
番組について
本記事で言及している番組は、筆者が個人的に視聴したものであり、特定の番組を推奨するものではありません。番組の内容や放送時間は変更される可能性があります。
その他
本記事の情報は執筆時点のものであり、最新の投資環境や市場状況とは異なる場合があります。IPO投資や個別株投資には高いリスクが伴うため、慎重な判断が必要です。
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参考サイト
- テレビ東京「WBS(ワールドビジネスサテライト)」
- 日本取引所グループ(JPX)「株式投資の基礎知識」
- 金融庁「NISA特設ウェブサイト」

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