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衆院解散が投資家に与える影響──為替・株式市場はどう動くのか

目次

はじめに

2026年1月、衆議院解散の観測が強まっている。

報道によれば、高市早苗首相が早ければ1月23日召集の通常国会冒頭で衆院解散を検討していると伝えられている。最速で1月27日公示・2月8日投開票という日程も浮上している。

投資家として気になるのは、「解散総選挙が市場にどう影響するか」だ。

実際、1月9日深夜に解散観測が報じられた直後、為替市場では円が1ドル=158円台に急落した。158円台は1年ぶりの水準だ。同時に、日経平均先物は5万2,200円付近から5万3,800円台に急上昇した。

この記事では、衆院解散が投資・資産形成に与える影響を、過去のデータをもとに冷静に分析していく。結論を先に言えば、長期投資家にとって、政治リスクは一時的なものであり、淡々と積立を続けるべきだと考える。

この記事の結論

  • 過去のデータでは「解散は買い」というアノマリーが存在し、日経平均は17回中17回上昇
  • 為替市場では財政悪化への懸念から円安が進行しやすい
  • ただし、選挙後は「他の材料」に左右されるため、株高の期間は短い
  • 長期投資家は政治リスクを気にしすぎず、淡々と積立を続けるべき

過去の解散総選挙と市場の動き

結論から言うと、過去のデータを見ると「解散は買い」というアノマリーが存在する。解散日から投開票日までの期間、日経平均株価は高い確率で上昇してきた。

「解散は買い」のアノマリー

日本の株式市場には、「解散は買い」という経験則がある。これは、解散日から総選挙の投開票日までの選挙期間中は株価が上昇するという意味だ。

1969年以降に実施された衆院選を確認すると、解散日から投開票前日までの期間で、日経平均は17回すべてで上昇している。TOPIXでも16勝1敗だ。

三井住友DSアセットマネジメントの調査によると、過去17回の解散・総選挙において、解散日から投開票前日までの期間で日経平均はすべて上昇している。これは驚異的な数字だ。

なぜこのような現象が起きるのか。理由の一つは、海外投資家の動きだ。

海外投資家の買いが株価を押し上げる

日本株の売買代金シェアの6割以上を占めるのは、海外投資家だ。彼らが買い越すか売り越すかで、株価の方向性が大きく左右される。

ニッセイ基礎研究所の分析(2021年)によると、2005年以降の5回の選挙では、投開票前の7週間で海外投資家が平均で総額約3兆円の日本株(現物・先物の合計)を買い越していたとされる。

海外から見ると、日本の衆院解散総選挙は「日本が良くなるきっかけ」と捉えられる。特に、任期満了ではなく途中で解散する場合、「何か変化が起きる」という期待から、日本株が買われやすい。

実際、現在の憲法下で任期満了で総選挙が行われたのは1976年の1度だけだ。それ以外はすべて途中で解散されている。

ただし、株高の期間は短い

ここで重要なのは、「株高の期間は比較的短い」という点だ。

選挙から半年経過後の日経平均を見ると、上昇・下落がまちまちになっている。与党が大勝して安定政権になった場合でも、半年後に株価が下落しているケースが散見される。

つまり、「選挙は買い」というアノマリーは存在するが、株高が続くのは選挙期間中だけで、選挙が終わってしまえば、株価の方向性は当然ながら、それ以外の材料(企業業績、金利、為替など)に左右される。

参考:三井住友DSアセットマネジメント – 衆議院の解散・総選挙と日経平均株価の関係

為替市場への影響──なぜ円安が進行するのか

結論から言うと、解散観測が出ると、為替市場では円安が進行しやすい。理由は、財政悪化への懸念だ。

1月9日深夜の円急落

2026年1月9日深夜、高市首相が衆院解散を検討しているとの報道を受けて、円が急落した。

158円台まで下落したのは、1年ぶりのことだ。わずか1時間で80銭も下落した。

三井住友銀行の鈴木浩史チーフ・為替ストラテジストは「解散総選挙のヘッドラインで市場が一変した」と指摘している。

財政悪化への懸念

なぜ解散観測で円安が進行するのか。

理由は、積極財政の加速による財政悪化が懸念されるからだ。

高市政権は、2025年度補正予算で18.3兆円、2026年度予算案で過去最大規模の122.4兆円という大型予算を編成している。選挙を前にして、さらに財政出動が加速する可能性があるとの観測がある。

財政が悪化すれば、長期金利が上昇し、国債の信用力が低下する。結果として、円が売られる。

ただし、財政出動による景気下支えを期待した株式市場では、日経平均先物が急騰した。つまり、「円安・株高」という動きが同時に起きた。

参考:日本経済新聞 – 円急落、衆院解散報道で1年ぶり安値

株式市場への影響──不確実性とセクター別の動き

結論から言うと、解散総選挙は株式市場に不確実性をもたらすが、過去のデータでは選挙期間中は株価が上昇する傾向がある。ただし、セクターによって反応が異なる。

不確実性が市場を動かす

選挙は、政策の変化により政治的な不確実性が解消され、経済が好転するきっかけとなることがある。経済成長への期待感が高まれば、株価の上昇要因になる。

実際、2026年1月9日深夜の解散観測では、日経平均先物が急騰した。5万2,200円付近から5万3,800円台に上昇した。

マネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジストは、「報道通り早期の解散となれば、投資家の株高への期待の盛り上がりはいつも(の選挙)以上だろう」と指摘している。

セクター別の動き

過去のデータを見ると、解散後は景気敏感株が買われる傾向がある。

三井住友DSアセットマネジメントの調査によると、1996年以降の8回の衆院選において、解散前営業日から選挙前営業日までの間に、電機・精密、鉄鋼・非鉄、機械などの景気敏感株が買われる傾向にあった。

これは、選挙後の経済政策への期待から、景気敏感株が買われやすいためだ。

ただし、選挙結果によっては株安も

ここで注意すべきは、選挙結果によっては株安になる可能性もあるという点だ。

例えば、与党が過半数を割り込むような結果となれば、今後の政治や政策運営の安定性への懸念から、市場がネガティブに反応する可能性がある。

不確実性が高まる局面では、投資家がリスク回避行動をとるため、株式市場が短期的に反応しやすい。

参考:アセットマネジメントOne – 選挙と日経平均株価の関係は?

投資家がすべきこと──淡々と積立を続ける

結論から言うと、長期投資家は政治リスクを気にしすぎず、淡々と積立を続けるべきだ。

市場を見ても売買しない

解散観測が出たからといって、株を買い増す必要はない。逆に、選挙が終わったからといって、株を売る必要もない。

なぜなら、「選挙は買い」というアノマリーは短期的なものであり、長期投資家にとっては些末な話だからだ。

私自身、S&P500とオールカントリーに淡々と積立投資を続けている。政治リスクで売買を繰り返すと、余計なコストがかかり、長期的なリターンを損なう可能性がある。

積立投資を継続する

投資のプロが推奨する最も堅実な方法は、インデックスファンドの淡々とした継続購入だ。

相場下落時に多くの口数を買い、上昇時に少なく買うことで、平均取得単価を安定させ、長期的な複利効果を最大化できる。

解散総選挙というイベントは、10年、20年という長期投資の視点では、ほとんど影響しない。むしろ、こうしたニュースに反応して売買を繰り返すことの方がリスクだ。

関連記事:米国株が高値圏──それでも投資すべきか?投資期間で考える判断基準

政局ニュースに惑わされない

私が心がけているのは、「政局ニュースに惑わされない」ことだ。

確かに、解散観測で為替が動き、株価が動く。しかし、それは短期的な動きであり、長期的な資産形成にはほとんど影響しない。

実際、過去の解散総選挙を振り返っても、選挙から半年後の株価は上昇・下落がまちまちだ。つまり、選挙という一時的なイベントよりも、企業業績や金利、為替といった構造的な要因の方が、はるかに重要だということだ。

関連記事:市場が暴落したとき、私たちはどう向き合うべきか

今回の解散観測をどう見るか

結論から言うと、今回の解散観測は「高市政権の高支持率を背景にした戦略的判断」と見られているが、予算成立の遅れなど課題もある。

高市政権の高支持率

報道各社の世論調査では、高市首相は就任以来6割前後の高水準の内閣支持率を維持しているとされている。日本初の女性首相というイメージも好評価につながっているとみられる。

自民党内からは、「支持率が高いうちに早く解散して、失った議席の回復を目指した方が良い」という声が出ていると伝えられている。

内閣支持率は、発足後時間が経つにつれて下落する傾向があるため、早期解散を求める声があるのも理解できる。

ただし課題もある

一方で、早期解散には課題もある。

最大の課題は、2026年度予算案の成立が遅れることだ。冒頭解散に踏み切った場合、予算成立が4月以降にずれ込む可能性が高いとみられている。

高市政権は物価高対策を最優先課題に掲げているため、予算成立の遅れは国民生活に直結する。自民党内にも慎重意見があり、野党も反発していると伝えられている。

また、報道では日本維新の会との連立合意で焦点とされる「衆院定数削減法案」の扱いも注目されている。通常国会での成立を目指すとされているが、野党の反対で審議入りのめどが立っていないとの指摘もある。

参考:nippon.com – 2026年の日本政治:高市首相の解散判断が最大の焦点

私の結論:政治リスクは一時的、長期投資家は気にしすぎない

私は現在、S&P500とオールカントリーに淡々と積立投資を続けている。衆院解散の観測が出ても、投資方針を変えるつもりはない。

政治リスクは織り込み済み

市場は常に、あらゆるリスクを織り込んで動いている。解散観測が出た時点で、すでに市場は反応している。

個人投資家がそのニュースを見て売買しても、すでに市場は動いた後だ。つまり、「ニュースを見てから動く」のでは遅い。

むしろ、こうしたニュースに反応して売買を繰り返すことの方が、長期的なリターンを損なうリスクがある。

長期投資なら影響は限定的

10年、20年という長期投資の視点では、衆院解散という一時的なイベントは、影響が限定的とみられる。

過去のデータを見ても、選挙後の株価は「他の材料」に左右されている。つまり、企業業績、金利、為替といった構造的な要因の方が、はるかに重要だということだ。

私が投資を始めてから、何度も政治的なイベントがあった。しかし、そのたびに売買を繰り返すのではなく、淡々と積立を続けてきた。結果として、資産は着実に増えている。

関連記事:20代から始める資産運用|FIREを目指す私の投資方針と実体験

続けることが最も重要

投資でも節約でも、最も重要なのは「続けること」だと考える。

一時的なニュースに反応して売買を繰り返すと、手数料や税金がかかり、結果的にリターンが下がる可能性がある。

一方、淡々と積立を続けることで、市場の変動に左右されず、長期的な複利効果を最大化できる。

衆院解散というニュースは、短期的には市場を動かすかもしれない。しかし、長期投資家にとっては、「続けること」の方がはるかに重要だと考える。

関連記事:S&P500とオールカントリー、どちらに投資すべきか?


まとめ

衆院解散が投資家に与える影響は、短期的には大きいが、長期的には限定的とみられる。

過去のデータでは、「解散は買い」というアノマリーが存在し、解散日から投開票前日までの期間、日経平均は17回すべてで上昇している。為替市場では財政悪化への懸念から円安が進行しやすい。

ただし、選挙後は「他の材料」に左右されるため、株高の期間は短い。選挙から半年後の株価は上昇・下落がまちまちだ。

長期投資家は、政治リスクを気にしすぎず、淡々と積立を続けることが重要だ。一時的なニュースに反応して売買を繰り返すよりも、「続けること」の方がはるかに重要だと考える。

政治リスクは一時的なものであり、長期投資の視点では影響が限定的だ。市場を見ても売買せず、投資方針を守り続けることが、最も確実な資産形成の方法だと考える。

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免責事項

本記事は、私個人の考えと調査に基づいて執筆したものだ。過去の市場データは将来のリターンを保証するものではない。投資判断はご自身の責任で行っていただきたい。

参考サイト

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この記事を書いた人

だっちのアバター だっち 会社員投資家

20代後半の会社員投資家です。
「経済的自由=FIRE」を目指し、インデックス投資・個別株・FXを実践中。
初心者にもわかりやすく資産運用の情報を発信しています。
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